『ほくほく』の笑顔という言葉からは、うれしさを隠し切れないようすが伝わってきます。
『くよくよ』する姿からは、過去の出来事などに心がとらわれ、考えても仕方のないことに思い悩む様子がうかがえます。
同じ泣くでも、『さめざめ』と泣くと、『おんおん』と泣くでは、泣くときの音量や悲しみの強さや深さがまったく違うように感じませんか?
喜びやうれしい気持ち、悲しみや泣く、悩むなど、人の感情や心の動き、感覚などをオノマトペは的確に臨場感たっぷりに伝えることができます。
今回は人の感情をあらわすオノマトペをあつめました。
よかったら、あなたの気持ちや思いを表す参考にしてくださいね!
オノマトペとは?
オノマトペとは、さまざまな音や動物の鳴き声、人の気持ちやものごとの様子をあらわす言葉です。
たとえば、靴の足音『トコトコ』や、
スズメの声『ちゅんちゅん』、
あたたかな陽気のときの『ぽかぽか』などです。
あなたもいつもの会話の中で、さまざまなオノマトペを使っていませんか?
このオノマトペには、つぎの2つの種類があります。
『擬音語(ぎおんご)』とは、
さまざまな音や動物の鳴き声などをあらわしたオノマトペ。実際に聞こえる声や音のことを言葉であらわしたものです。
先ほどの例でいえば、靴の足音『トコトコ』や、スズメの声『ちゅんちゅん』などです。
一方『擬態語(ぎたいご)』とは、
ものごとの様子や人の気持ちをあらわすオノマトペで、実際には音として聞こえるものではありません。
先ほどの例でいえば、あたたかな陽気のときの『ぽかぽか』などです。
人の気持ちをあらわす言葉では、
怒っているときの『プンプン』や
喜びや期待でいっぱいの『わくわく』、
心配や後悔したときの『くよくよ』などがあります。
どれも音が聞こえるわけではありませんが、その様子や状況がよく伝わってきます。
今回ご紹介するオノマトペは、人の心の状態や気持ちをあらわす【感情】の言葉、『擬態語』です。
オノマトペの魅力は、『感じていること』や『気持ち』、『思い』などを素直に端的に伝えることができること。
それでは【感情】のことば、オノマトペ(擬態語)をご紹介します。
感情・状況別オノマトペ
人の気持ちや感情を表した言葉、オノマトペ(擬態語)を意味とあわせて、感情別に一覧にまとめました。
笑う
こちらでは、【笑う】に関する感情のオノマトペ(擬態語)を3つの種類にわけています。
《豪快で大きな笑い》
オノマトペ(擬音語) | 表わしている様子 |
あっはっは | 快活で大きな声の笑い。 |
うはうは | 大儲けなどして大声で笑う。少し下品な笑い。 |
がはは | 大きな口をあけて豪快に笑う。 |
からから | 陽気に屈託なく笑う。 |
けらけら | 高い声で無邪気に笑う。 |
ころころ | 高い声で明るく笑いころげる。 |
ははは | 屈託なく笑う。 |
《静かな笑い》
オノマトペ(擬音語) | 表わしている様子 |
うひょひょ | うれしい笑い声を小さくもらす。 |
うふふ | 口をやや開けて、秘密めかした笑い。 |
うふっ | 小声で短く笑う。 |
えへへ | 照れながら恥ずかしそうに笑う。 |
くすくす | 笑いをこらえきれずに密かに。 |
くすっ | ほんの少しだけ声を出して笑う。 |
にこっ | うれしそうな顔でほほ笑む。 |
にこにこ | うれしそうに明るく笑う。 |
にんまり | 望むとおりになって満足げに笑う。 |
ぷーっ | おかしなことに思わず吹き出す。 |
ふふ | 喜びを隠せず、含み笑い。 |
へへへ | 照れて得意げに笑う。 |
ほくほく | 多額の利益などを得てよろこぶ笑い。 |
ほほほ | 口を手で覆うなどして、控えめに軽く笑う。 |
《悪を含む笑い》
オノマトペ(擬音語) | 表わしている様子 |
いひひ | 口を横に引いて陰険に笑う。 |
うっしっし | うまくやったとほくそ笑む。 |
にやにや | 冷ややかに薄笑い。 |
にたりにたり | 嫌味な笑いを繰り返す。 |
ひひひ | 悪人などが狡猾に下品に笑う。 |
へらへら | だらしなく軽薄な笑い。 |
よろこび
【喜び】に関する感情のオノマトペ(擬態語)です。
《喜びやうれしいとき》
オノマトペ(擬音語) | 表わしている様子 |
いそいそ | うれしさに心はずませる様子。 |
うきうき | 楽しそうに期待に胸はずませる様子。 |
うはうは | うれしさに笑いがこみあげてくる。 |
きゃぴきゃぴ | 若い女性がはしゃぐ様子。 |
ほくほく | 満足でうれしさを隠し切れない様子。 |
らんらん | 気分が浮だって躍り上がる。 |
るんるん | 気分が浮き立ち、鼻歌まじりで。 |
わくわく | 喜びや期待で心がときめく。 |
思いや感じたこと
【思うこと】や【感じたこと】をオノマトペ(擬態語)で表現するときの言葉をあつめました。
《思いや感じたこと》
オノマトペ(擬音語) | 表わしている様子 |
うっとり | 美しいものなどに恍惚とする。 |
きゅん | 一瞬、胸が切なくなる。 |
さめざめ | 深く心に染み入る。 |
じーん | 感動が静かにわき上がる。 |
しんみり | 心が沈み、もの寂しくしめやかなさま。 |
ゾッ | 強い感動・感情が身体を走り抜けるさま。 |
つくづく | 心の底からそう強く思うこと。 |
むくむく | 感情や考えが急に浮かぶ。 |
むらむら | おさえられない思いが次々とわき上がる。 |
もやもや | 考えなどがあいまいなさま。 |
《驚き》
オノマトペ(擬音語) | 表わしている様子 |
あわわ | 急に気づいたり驚いたりして、思わず声が出る。 |
がーん | 心理的に強い衝撃を受ける。 |
ぎくっ | 一瞬つよく驚き、恐れるさま。 |
きゃー | 驚きや恐れで、かん高い悲鳴をあげるさま |
ぎゃー | 驚きや恐れのあまり、思わず出すはげしい声。 |
きゃっ | 一瞬つよく驚き、恐れるさま。 |
ぎゃっ | 驚きのあまりに思わず出す声のこと |
オノマトペには、似たような言葉、同じような言葉が多くあります。似たような言葉でも、ちょっとした表現のニュアンスに違いがあります。
たとえば、濁点のあるときと、ないときです。
同じような言葉でも、濁点がつくと、より度合いの激しい感情をあらわす言葉になります。
たとえば、『きゃー』より、『ぎゃー』の方が、より強烈な驚きをあらわしています。
ほかにも『きゃっ!』は一瞬、軽く驚くさま。
『ぎゃっ!』も短い驚きですが、驚きの度合いが『きゃっ!』よりも強くなっていることが伝わります。
- 濁点がつくとその度合いが強調される
- きゃー! ⇒ ぎゃー!
- きゃっ! ⇒ ぎゃっ!
こちらの記事では『感動』の言葉をあつめました。
>>【感動】を言葉で伝えよう!心に響く感動の気持ちをあらわす言葉まとめ。
泣く
【泣く】に関する感情のオノマトペ(擬態語)を3つの種類にわけてまとめています。
《大きく泣く》
オノマトペ(擬音語) | 表わしている様子 |
えんえん | 声をあげて泣く声。 |
おいおい | 深い感情をこめて泣くさま。 |
おんおん | 声をあげて周囲を気にせず泣く声。 |
ひーこら | 苦役などで、悲鳴や泣き声をもらすさま。 |
ぼろぼろ | 大粒の涙をながして泣く。 |
わんわん | あたりを気にせず大きな声をあげて泣く |
わーわー | 所かまわず大声で泣きわめく。 |
《静かに泣く》
オノマトペ(擬音語) | 表わしている様子 |
うるうる | 心が動かされて涙ぐむ。 |
うるっ | 思わず涙がこぼれそうになるさま。 |
ぐすん | 涙ぐんで、鼻をならして泣くさま。 |
さめざめ | しきりに涙を流して、静かに身に染みるように泣くさま。 |
しおしお | 気持ちがしぼんで涙を流す。 |
しくしく | 勢いなく、哀れげに泣く。 |
べそべそ | ぐずりながら泣くさま。 |
ほろり | 同情や感動で涙が一粒こぼれ落ちる。 |
ぽろぽろ | 涙がこぼれ続けるさま。 |
めそめそ | 意気地なくいつまでも泣くさま。 |
《子供が泣く》
オノマトペ(擬音語) | 表わしている様子 |
うあーん | 子どもなどが大声で泣く声。 |
えーん | 子供が訴えるように泣く。 |
おぎゃーおぎゃー | 赤ん坊が泣きわめく声。 |
ぎゃーぎゃー | 赤ん坊などがやかましく泣き叫ぶ声。 |
元気がないとき
こちらでは【元気がないようす】を表すオノマトペをまとめました。たくさんありますよ~。
オノマトペ(擬音語) | 表わしている様子 |
がっくり | 張りつめた気が一時にゆるんで、元気が抜けるさま。 |
がびーん | ひどく打ちのめされたようす。 |
くしゅん | 気持ちがくじける。 |
くよくよ | 過去や些細なことに思い悩む。 |
げっそり | 病気や心労で急に衰える。 |
けちょん | すっかり気力を失うさま。 |
しおしお | 気落ちして力が抜けたさま。 |
しゅん | 元気をなくし、うなだれるさま。 |
しょぼしょぼ | 元気がなく、うなだれるさま。 |
しょんぼり | 元気がなくうなだれて、寂しくわびしいさま。 |
しんみり | もの寂しく、しめやかに。 |
すごすご | 元気なくその場を立ち去るようす。 |
とぼとぼ | 意気消沈して、うなだれ歩く。 |
へたへた | 急に力が抜けて、倒れ込む。 |
へなへな | 力が抜けて、弱々しく崩れ落ちるさま。 |
よれよれ | 元気がなく弱りきったさま。 |
怒り
こちらは【怒り】をあらわすオノマトペのいろいろです。
オノマトペ(擬音語) | 表わしている様子 |
かーっ | 思いどおりにならず、逆上するとき。 |
かちん | 相手の言動が気にさわり、すぐさま反応するとき。 |
かっ! | 恥辱や怒りで頭に血がのぼるとき。 |
かっか | 怒りや不満で興奮するようす。 |
がみがみ | 口やかましく、しかりつけたり文句を言うさま。 |
かりかり | 苛立たしく神経がたかぶり、怒りやすいとき。 |
カンカン | すぐには許してくれないほどの激しい怒り。 |
きりきり | 心がいら立ったり、神経が高ぶるさま。 |
ぐらぐら | 怒りや嫉妬で心が燃えたぎる。 |
ぷりぷり | 不満や怒りで頬をふくらませる。 |
むかっ | 怒りが急激にこみあげてくる。 |
むかむか | 怒りがわきあがるようにこみあげてくる。 |
不機嫌・不愛想
不機嫌な時や不愛想なようすを表すオノマトペ(擬態語)です。
オノマトペ(擬音語) | 表わしている様子 |
イライラ | 思うようにならなくて、感情が高ぶるようす。 |
くさくさ | 腹がたったり憂欝だったりして、気分が晴れないさま。 |
ぞっ | 恐ろしさや寒さで一瞬身体が震え上がるさま。 |
つんけん | とげのある口調や態度のこと。 |
つっけんどん | 愛想もなく、ぶっきらぼうなさま |
つんつん | 不機嫌にそっぽを向く。 |
とげとげ | 意地の悪い口調や目つき。 |
ぷい | 口もきかずに横をむいたりする。 |
ぶすっ | 不機嫌でふくれっ面 |
むーっ | 怒りや不機嫌さをむき出し |
むしゃくしゃ | 気持ちが乱れ、腹が立ったりする。 |
ピリピリ | 心を強く刺激し、神経が興奮するさま。 |
オノマトペをたのしむ本
さいごに、オノマトペを楽しむ本をご紹介♪
『くらべてわかる オノマトペ 』は、似たようなオノマトの『その違いってなに?』という素朴な疑問に答えてくれる本です。
宮沢賢治といえば、オノマトペの作家といってもよいのではないでしょうか?独特のフレーズ、表現方法はわたしたちに新たな扉を開いてくれます^^
『宮沢賢治のオノマトペ集 』 では、宮沢賢治のオノマトペの世界をわかりやすく案内してくれます。
オノマトペという日本語は、外国の人からみるととても奇妙なことばの世界なのかもしれません。
『日本語擬態語辞典』は、ユーモラスなイラストとともに外国人にも、日本人にも向けたオノマトペの本です。日本人も十分にたのしめる本ですよ^^
まとめ
感情を表現することば、オノマトペ(擬態語)をあつめて紹介させていただきました。
同じ感情でも、オノマトペ(擬態語)で大きくなったり、小さくなったり。ポジティブにも、ネガティブにもなります。
感情や思い、気持ちを表現ゆたかに伝えるきっかけになれば幸いです^^
最後までお読みいただきありがとうございました。
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