煙るように降る雨、『霧雨』
ぱらぱらとかすかに降っている雨、『小雨』
このふたつの雨の違いについて、あなたは理解できていますか?
なんとなくわかるような、でも具体的には説明ができない…。というような方もいるのではないでしょうか。
今回は『霧雨』と『小雨』の違いについて、言葉の意味や、『霧雨』の類語・例文などもあわせて解説していきます。
『霧雨』と『小雨』の違い
『霧雨(きりさめ)』と『小雨(こさめ・こあめ)』の違いを簡単に言うと、
【見分け方の違い】です。
それぞれの見分け方はつぎのとおりです。
- 『霧雨』
…微小な雨滴。直径0.5mm未満の弱い雨のこと。 - 『小雨』
…数時間降り続いても、雨量が1mmに達しないくらいの雨のこと。
引用元:気象庁HP https://www.jma.go.jp/jma/index.html
『霧雨』の見分け方は、雨粒の❝大きさ❞です。
雪やみぞれなどと同じく、降るものの
種類(形や状態)をあらわしています。
一方、『小雨』の見分け方は、雨の❝強弱❞ です。
降る雨の量や強さをあらわしています。
それでは、『霧雨』と『小雨』について、もう少し詳しくみていきましょう。
『霧雨』とは?
『霧雨』とは、霧状に降る雨のことで、降るものの種類(雨の種類)に関する用語です。
降るものの種類なので、天気記号があります。
『霧雨』の天気記号はつぎのとおりです。
気象庁では、『霧雨』のことをつぎのように定義しています。
引用:気象庁 https://www.jma.go.jp/
『小雨』とは?
『小雨』とは、「少し降る雨」や「小降りの雨」のことをいい、雨が降るときの
【強弱】や【降雨量】のことを指します。
『小雨』は、降るものの種類や名称のことではありませんので、天気記号はありません。
気象庁では、『小雨』のことをつぎのように定義しています。
引用:気象庁 https://www.jma.go.jp/
もし仮に、『霧雨』のように0.5mm未満の細かく弱い雨が降ったとしても、雨量が、1mm以上、5mmにも達するようなことがあれば、それは『小雨』にはならないということになります。
『にわか雨』と『通り雨』の違いを解説しています。別名や季語もご紹介しています!
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『霧雨』言葉の意味
『霧雨』と『小雨』の違い、伝わりましたか?
ここからは『霧雨』という言葉について、その類語や例文・使い方などを解説していきたいと思います。
興味ある方は、ぜひ読んでみてください。
『霧雨』という言葉は、大和言葉(日本古来の言葉)です。秋のことばで、秋の季語。
俳句などで『霧雨』を使う場合は、秋の表現になります。
『霧雨』の言葉の意味は、つぎのとおりです。
【霧雨(きりさめ)】
霧のように細かに降る雨のこと。
きりあめともいう。
秋の季語
細かい水滴が風に乗って煙るように降る雨のこと。「霧」は、古くは四季を通じて使用されていましたが、平安時代以降、秋のものを「霧」と言い、春のものを「霞」と呼び分けました。「霧雨」とは言いますが、「霞雨」とは言いません。
引用元:大和言葉辞典、ビジュアル大和言葉辞典
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『霧雨』の使い方
こちらでは『霧雨』の類語や言葉の使い方などについてご紹介していきます。
類語
『霧雨』の類語には、『小糠雨(こぬかあめ)』という言葉があります。
『小糠雨』も大和言葉ですが、季語ではありませんので、俳句などで使用するときは季節を問いません。
『小糠雨』の意味は、つぎのとおりです。
【小糠雨(こぬかあめ)】
雨粒のきわめて細かい雨のこと。
まるで小糠のように細かい雨のこと。
「小糠(粉糠)」とは、米を精白するときに、外側からとれる種皮や胚芽の粉末のこと。その状態や性質が、こまかい、はかない、頼りない、役に立たないことなどを表します。ちなみに「ぬかよろこび」とは、あてがはずれて、がっかりするような一時的な喜びのことです。
「小糠雨」も「霧雨」と同じような降り方の雨で、雨粒の細かさを小糠の細かさに託していいます。
「糠雨」ともいう。
引用元:大和言葉辞典、ビジュアル大和言葉辞典
『小糠雨』はほぼ『霧雨』と同じような雨を指しますので、秋以外の季節で、俳句などで表現するときには、この『小糠雨』と使うと良いでしょう。
そのほか、『霧雨』と同じような意味のことばに『猫毛雨(ねこんけあめ)』という言葉があります。
この言葉は、つぎのように地方によって、若干意味が違います。
・佐賀県地方…小雨
まるで猫の毛のように、やわらかな、細やかに優しく降る雨のことを表しているそうです。
例文:表現方法と情景
こちらでは、『霧雨』と『小糠雨』を使った例文をご紹介します。
『霧雨』を使った例文
『小糠雨』を使った例文
最後に、『霧雨』や『小糠雨』が降る情景をあらわした例文をご紹介します。
直接的に『霧雨』や『小糠雨』という言葉は使用していませんが、言葉をたどって情景を思い浮かべてみると『霧雨』や『小糠雨』降る景色が浮かびあがってきます^^
(村上春樹『1973年のピンボール』より)
(中島みゆき『泣かないで・女うた』より)
(川端康成『掌の小説』より)
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こちらの記事では、春夏秋冬、【雨の季語】についてご紹介しています!
まとめ
『霧雨』と『小雨』の違いや意味などについて、ご紹介させていただきました。
要点をまとめると次のとおりです。
- 【霧雨】
降る雨の種類のこと。
天気記号がある。
日本古来の大和言葉で、秋の季語 - 【小雨】
雨が降る強さや雨量を指す言葉。
天気記号なし。
弱い雨でも、雨量が1mm以上になると『小雨』ではない。
少しでも『霧雨』と『小雨』の違いの理解が深まれば、幸いです。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
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