「どうぞごゆるりとなさってください」
なんともいえない、上品な響きと優しい音の言葉ですね。その響きから、自然と ❝ゆったり❞ した気分になってくるから不思議です。
この【ごゆるりと】という言葉、いったいどんな意味があるのでしょうか?そもそも正しい日本語なのでしょうか?
今回は、そんな疑問をもっている方のために、
この【ごゆるりと】という言葉の意味や語源、使い方などについて、ご紹介します!
【ごゆるりと】の意味
【ごゆるりと】には、つぎのような意味があります。
- ゆったりとくつろぐような様
- 急がずにゆっくりと行動する様
- あくせくせずに、ゆったりとした心境でいる様
- 相手を敬い、リラックスするようにすすめるときに使う言葉(挨拶語)
【ごゆるりと】とは、
広い意味でのゆとりを表現する言葉です。
❝ごゆるりと❞って、
そもそもちゃんとした日本語にゃのかな?
もしかして、どこかの方言かにゃ?
どんなふうに使うのかにゃぁ?
【ごゆるりと】の語源
【ごゆるりと】という言葉は、大和言葉です。どこかの方言ではなく、古くから使われている言葉、日本語(和語)です。
【ごゆるりと】という言葉には、大和言葉らしい、なんとも言えない上品な音の響きと、やわらかさがあります。
もともとは、
【緩り(ゆるり)】〔副詞〕という言葉。
この言葉の丁寧語が、
【御緩り(ごゆるり)】です。
【御緩り(ごゆるり)】とは、
【緩り】〔副詞〕という言葉に、接頭語の【御】(ご)がついたもの。
そして多くは、【ごゆるり】に「と」を伴って使うことが多いです。
【御】〔接頭語〕+【緩り】〔副詞〕
さきほど、【ごゆるりと】という言葉は大和言葉だとお伝えしましたが、現代の日本語は、大和言葉を含めて3種類の言葉で成り立っています。
- 大和言葉
- 漢語
- 外来語
ちなみに、漢語は中国語から取り入れられた言葉です。たとえば、「開始」「故郷」
「山地」などです。
外来語とはカタカナで表わされるもので、たとえば「スタート」「ユニーク」
「スピーチ」などの言葉です。
大和言葉とは、太古の昔、わたしたちの祖先が創りだした日本固有の言葉。
また、その伝統の上で生まれ、育まれた言葉です。
心の機微をあらわす繊細さや音の美しさ、
やわらかな表現などがその特徴です。
つい漢語的表現や、外来語(カタカナ)を使いがちですが、身のまわりにも大和言葉は多くあります。意識してみると、ことばの新たな発見につながります。
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【ごゆるりと】の使い方
【ごゆるりと】の言葉の使い方について、いくつか例文をご紹介します。
例文1)
どうぞごゆるりとお楽しみください。
ごゆるりとおくつろぎください。
どうぞごゆるりとお越しください。
ごゆるりとお過ごしください。
ごゆるりと、お名残をつくされたがよい。
吉川英治『新書太閤記』
例文6)
ようだし、現金払いなら、こちらは客商売、
まあ、ごゆるりと遊んでいらっしゃい。
太宰治『新釈諸国噺』
【ごゆるりと】の類語
こちらでは【ごゆるりと】の類語や関連語、連想語をご紹介します。
類語・関連語
【ごゆるりと】の類語・関連語には、つぎのような言葉があります。
ゆるりと、ゆるゆると、ゆるやかに、
やおら、おもむろに、
そのほか、つぎのような類語もあります。
…ゆるやかで、ゆったりとしているさま。
弛緩(しかん)
…ゆるむこと、だらけること。
関連語としては、つぎのような言葉になります。
緊張をほぐす、肩の力を抜いて、
スローに、リラックスする、
気分がほぐれる、
連想語
【ごゆるりと】の連想語をご紹介します。連想語は、【ごゆるりと】という言葉のイメージを広げると浮かんでくるような言葉です。
のろのろ、もたもた、てくてく、
ふわりと、のほほんと、そっと、
ゆとりのある、けだるい、
スローモーションのように、
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まとめ
【ごゆるりと】という言葉について、ご紹介させていただきました。
要点をまとめると次のとおりです。
- 古くから使われている大和言葉(和語)
- 空間的にも、時間的にも、ゆったりとくつろぐという意味
- おもに相手に対して言葉をかけ、そのように促すかたちで使用する言葉
現代は、忙しく慌ただしい毎日ですが、
【ごゆるりと】という感覚を大切にして、日々を過ごしていきたいものですね^^
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
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