『滅茶苦茶』と『無茶苦茶』の違いとは?意味や語源を知り、使いこなす方法

ことばの違い

滅茶苦茶(めちゃくちゃ)】と、
無茶苦茶(むちゃくちゃ)】。

語呂も、ことばの音もよくて、使いやすい言葉ですよね。

『滅茶苦茶、カッコいい!』とか、
『無茶苦茶、面白いドラマ』とか。
日常でも使うことが多いのではないでしょうか。

そもそも【滅茶苦茶】と【無茶苦茶】の違いってあるのでしょうか?

本来の意味は?
なんで『茶』がつくの?など、ちょっと気になる言葉でもあります。

 

今回は、この【滅茶苦茶】と【無茶苦茶】について、意味や語源、使い方などを解説してます。

『滅茶苦茶』と『無茶苦茶』の違い

【滅茶苦茶(めちゃくちゃ)【無茶苦茶(むちゃくちゃ)の違いについてです。

結論からいいますと、意味も語源もほぼ同じです。

違いはないのか?

といわれますと、使い方で少し違いがあります。

それでは、はじめに意味から少しずつ見ていきましょう。

『滅茶苦茶』と『無茶苦茶』の意味

【滅茶苦茶【無茶苦茶の意味について、ご紹介します。

 

はじめに【滅茶苦茶の意味です。

  1. 道理に合わないさま
  2. 度を越しているさま
  3. 台無しになってしまったさま
    (岩波国語辞典)
【滅茶苦茶】は、【目茶苦茶】とも書きます。

 

つぎに、【無茶苦茶】の意味です。
  1. でたらめで筋道が立たず、普通でないこと。
  2. 程度がはなはだしいこと。むやみに。
    (出典:岩波国語辞典)
このように【滅茶苦茶】も、【無茶苦茶】も、意味はほぼ同じであることがわかります。
どちらも、まったく理屈もなにも通らないの意味で、くだけた会話に使われる俗語でもあります。
そして、【滅茶苦茶】も、【無茶苦茶】も当て字です。
おかめ
おかめ

【滅茶苦茶】も、【無茶苦茶】も、

意味はほとんど同じなんだにゃ

小梅
小梅

つぎは語源や由来を紹介するにゃ!

なにか違いがあるかもしれないよ。

語源・由来

さきほど、【滅茶苦茶】も【無茶苦茶】も、意味はほぼ同じであることがわかりましたが、語源や由来に違いはあるのでしょうか?

こちらでは、語源由来を探ってみたいと思います。

 

ところで、【滅茶苦茶】と【無茶苦茶】の語源を語るうえで欠かせない言葉があります。

それが『無茶(ムチャ)という言葉です。

実は【滅茶苦茶】も【無茶苦茶】も、
この『無茶』が語源になっています。

この『無茶』という言葉は、つぎのような意味や語源があります。

  • 【意味】
    筋道が立たないさま、道理や常識に合わないさまをいう。
  • 【語源】
    『無茶』とは、『無作(ムサ)が変化したもの。
    無作は『貪る(むさぼる)』などと同根の言葉で、貪る心が強いことや、汚らしいことを表した。
    さらに、『ムサクサ』『ムサムサ』『ムシャクシャ』などの形で用いられ、毛が乱れている、汚らしいなどの意味で用いられた。さらに『むさ苦しい』などが用いられた。
    (出典:語源辞典 形容詞編)

『無茶』の意味も、
【滅茶苦茶】や【無茶苦茶】とほぼ同じで
『道理に合わないようなさま』をいいます。

 

そして、『無茶』は『無作(ムサ)という言葉が変化したものということがわかりました。

 

そこで、この『無作』の意味について調べてみました。

意味はつぎのとおりです。

因縁によって生じたものではなく、
したがって生ずることも滅することもないこと。
真理。仏教用語

(類)無為
(出典:三省堂大辞林)

『無作』とは、人為的な働きのないことで、自然のままの意味。仏教用語です。

『無作』から転じた言葉には、ほかにも、
『ムサト』『ムサムサ』『ムサクサ』
『貪る(ムサボル)
などがあり、

これらの【ムサ】と同根といわれています。

【ムサ】【無茶ムチャ

 

これをふまえた上で、
【無茶苦茶】と【滅茶苦茶】それぞれの語源・由来をみていきましょう。

 

 

『無茶苦茶』の語源・由来

【無茶苦茶】の語源・由来とは、
『ムサクサ』が転じたものです。

 

『ムサクサ』とは、
【無作(ムサ)】から転じた言葉で、つぎのような意味があります。

  1. 心が晴れないさま。むしゃくしゃ。
  2. 毛などが乱れもつれているさま。
  3. 秩序のないさま
    (出典:三省堂大辞林 第三版)

 

そして、【無茶苦茶】を分解すると、つぎのようになります。

  • 【無作(ムサ)】⇒【無茶】へ。
  • 【苦茶】は、【無茶】を強調した語呂合わせの言葉

 

『滅茶苦茶』の語源・由来

つぎに【滅茶苦茶】の語源・由来についてご紹介します。

実は【滅茶苦茶】の語源も、【無茶苦茶】とあまり違いがありません。

【滅茶苦茶】を分解すると、つぎのようになります。

  • 【無作(ムサ)】⇒【滅茶(目茶)】へ転じたもの。
  • 【苦茶】は、【滅茶(目茶)】を強調した語呂合わせの言葉。
このようにみていくと、
【滅茶苦茶【無茶苦茶は、語源・由来もほぼ同じであることがわかります。

 

それでは、つぎに【滅茶苦茶】と【無茶苦茶】の使い方をご紹介します!

 

ことばの使い方・例文

【滅茶苦茶】と【無茶苦茶】の使い方例文のご紹介です。

意味や語源はほぼ同じである【滅茶苦茶】と【無茶苦茶】ですが、使い方になるとちょっとした違いがあったりしますので、そのあたりをまとめました。

『無茶苦茶』の使い方・例文

はじめに【無茶苦茶】の使い方と例文です。

おもに形容詞的に使う場合が多い言葉です。

例文1)程度がはなはだしいなどの意味合いが含まれる使い方です。

学生生活最後の野球部の応援で、私は無茶苦茶に楽器を鳴らし続けた。

例文2)通常の限度を超え、不条理であるさまを含めた使い方です。

上司はいつも無茶苦茶な仕事のやり方を命じてくる。

例文3)やり方が強引理解しがたいような状況をあらわすときの言葉の使い方です。

今日はじめて知ったのに、明日までに作品を提出しろだなんて、無茶苦茶な話だ。

 

『滅茶苦茶』の使い方・例文

【滅茶苦茶】の使い方と例文です。

【滅茶苦茶】は、形容詞的に使う場合や、結果を表すときにも使う言葉です。

例文1)極端な混乱や無秩序をあらわすときの使い方です。

今思い起こすと、あの高校は、教師も学生も滅茶苦茶だった。

例文2)予測不能な、困惑させるさまをあらわす言葉の使い方です。

合わない仕事を我慢してやり続けた結果、病気になり、私の人生は滅茶苦茶になってしまった。

例文3)ひどくて手が付けられないような状態をあらわすときの使い方です。

滅茶苦茶にものがあふれ散乱している部屋を訪れて、私は驚いてしまった。

 

『滅茶苦茶』と『無茶苦茶』の類語

さいごに【滅茶苦茶】と【無茶苦茶】の類語をご紹介します。

【滅茶苦茶】と【無茶苦茶】は類語もほぼ共通しています。

こちらでは、共通であてはまる類語をご紹介。類語を選ぶときには、つぎの点を意識すると良いです。

  • どのような状況をあらわすのか。
  • どのような要因が含まれているのか。

そこで、この2つの点を意識したうえで、おおまかに3つの種類(パターン)に分類して類語をご紹介します。

状況や要因を考えながら言葉をあてはめてみて、文章と意味がしっくりくるものを選んでくださいね。

不条理で道理にかなっていない

理にかなわない、馬鹿馬鹿しい、不合理、阿保臭い、とんちんかん、めちゃめちゃ、
可笑しい、筋違い、非常識、荒唐無稽

 

通常の限界を超えている

法外な、出鱈目、並外れ、過度な、
べらぼう、極端、過剰、過分、甚だしい、

無茶な、無理やり

 

混乱と無秩序

支離滅裂、雑然とした、乱雑、非論理的、
混沌、カオス、しっちゃかめっちゃか、
ごたごた、てんやわんや、なんでもあり

 

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まとめ

今回は、【滅茶苦茶】と【無茶苦茶】の言葉の意味や語源、使い方などについて解説しました。

要点をまとめるとつぎのとおりです。

  • どちらも意味はほぼ同じ
    道理に合わないさまや、程度がはなはだしいさまをいう
  • 語源は、どちらも『無作(ムサ)』からはじまった言葉

【滅茶苦茶】と【無茶苦茶】を使うときには、意味に加え、状況や要因を考えることをおすすめします。類語を選ぶときには、3つの種類(パターン)を意識すると選びやすくなります。

【滅茶苦茶】と【無茶苦茶】を上手に使って、ことばの表現が広がれば幸いです!

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

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