木枯らし吹く季節『冬の風』を表現する言葉♪冬の季語と俳句をご紹介します!

冬の季語

風はいつの季節でも吹いているものですが、

『冬の風』はとりわけ寂しかったり、冷たかったり、雪や雨とまざって吹いたり。

痛さを感じたり、乾いていて、孤独感のようなものを感じたり。

なんとも、さみしく厳しい印象がありますね。

今回は、その厳しさをも感じる『冬の風』の季語と俳句について、ご紹介します!

 

冬の季語・俳句一覧

『冬の風』をあらわす季語と俳句を一覧でご紹介します。季語ごとに、意味と俳句をご紹介しています。なかには意味だけの季語もありますので、その点についてはご了承ください。

あなじ

《意味》
あなじ

… 乾風と書いて、あなじと読む。冬季に、西日本地方にシベリア寒気団から流れ込む強い北西の冬型季節風のことをいう。

 

市はここ 人まばらなる 乾風かな 
津田一鳳

 

風花

《意味》
風花
(かざはな)

… 冬の青空に舞う雪のこと。
類語)吹越

 

日ねもすの 風花淋しからざるや 
高浜虚子

 

いまありし日を 風花の中に探す 
橋本多佳子

 

風花の 一片にして 遠ながれ
皆吉爽雨

 

吹越に 翔ぶや風の 子川鳥
堀口星眠

 

鎌鼬

《意味》
鎌鼬
(かまいたち)
… 突然、皮膚が裂けて、鋭利な鎌で切ったような傷ができる現象のこと。空気中に真空の部分ができたときに、それに触れておこるといわれる。江戸初期の仮名草紙に載っており、関八州、秋田、信濃で起こるとされ、怪異といれた。越後の七不思議のひとつとされている。
類語)鎌風

 

かまいたち楔(くさび)を入れて 木を挽けば 
茨木和生

 

神渡し

《意味》
神渡し
(かみわたし)
… 陰暦10月に吹く西風のこと。

 

雲ひとつなき 葛城の 神渡し 
朝妻 力

 

空風

《意味》
空風
(からかぜ)からっ風
… 
冬に雨・雪などを伴わないで強く吹く北風のこと。

 

から風の 吹きからしたる 水田かな
天野桃隣
空ッ風 にわかに玲瓏となるときも
金子兜太

 

 

寒風

《意味》
寒風
(かんぷう、さむかぜ)

… 冬の寒い風のこと。
寒風の ぶつかりあひて 海に出づ
山口誓子
青空に 寒風おのれはためけり
中村草田男
寒風や 安堵のコーヒー 濃く熱く
水原春郎

 

風冴ゆ

《意味》
風冴ゆ
(かぜさゆ)

… 風が冷たく身にしみとおるように吹くこと。

 

風冴えて 高嶺紺青雪のこる
飯田蛇笏

 

 

北風

《意味》
北風
(きたかぜ、きた、ほくふう)

… 北から吹いてくる冷たい風のこと。
類語)朔風(さくふう)、北吹く、大北風(おおぎた)、朝北風(あさぎた)
北風や 石を敷きたるロシア町
高浜虚子
北風の 藪鳴りたわむ 月夜かな
杉田久女
北風に吹かれて 星の散らばりぬ
今井杏太汀
北風や わが生涯の 一里塚
星野立子
大北風に あらがふ鷹の 富士指せり
臼田亜浪
朔風に 帆船現れて はや遠し
中村汀女

 

北颪

《意味》
北颪
(きたおろし)
北下し(きたおろし)

… 山から吹き下ろす、冬の冷たい北風のこと。

 

街道や 大樫垣の 北おろし
村上鬼城

 

行くさ 来さ 中山道は 北颪
三橋敏雄

 

北おろし一夜吹きても 吹きたらず
福田甲子雄

 

北しぶき

《意味》
北しぶき

… 冬の時期、北から吹きつける冷たい風雨のこと。

 

木枯らし

《意味》
木枯らし
(こがらし)

… 秋の終わりから冬の初めころに吹く、冷たい強い風のこと。
類語)(こがらし)

 

木がらしや 手さへ届かぬ 堂の縁
西山来山
木枯に 岩吹きとがる 杉間かな
松尾芭蕉
木がらしの 吹き行くうしろ 姿かな
服部嵐雪
木枯や すぐに落ちつく 水の月
加賀千代女
こがらしや 潮ながら飛ぶ 浜の砂
加舎白雄
木枯や 更け行く 夜半の猫の耳
立花北枝
木枯よ 削り過すな 山の形(なり)
堀 麦水
の 果てはありけり 海の音
池西言水
や 日も照り雪も 吹き散らし 
三浦樗良

 

小春風

《意味》
小春風
(こはるかぜ)

… 小春のころの風のこと。小春とは陰暦10月異称のことで、立冬を過ぎてもまだ本格的な冬とはならず、春先を思わせるような日和のことをいう。

 

しまき

《意味》
しまき
… 雪と風が吹き荒れるさまのこと。
類語)風巻(しまき)、雪しまき、
風雪(ふうせつ)、しまき雲

 

しまき来る 雪のくろみや 雲の間 
内藤丈草

 

雪しまき 真夜中の柱 きしむ音
蛯澤市助

 

 海に日の落ちて 華やぐ しまき雲
角川源義

 

 

隙間風

《意味》
隙間風(すきまかぜ)

… 壁や障子、窓のサッシなどのすき間から吹き込む風のこと。
類語)ひま洩る風(ひまもるかぜ)

 

時々に ふりかへるなり 隙間風
高浜虚子

 

寸分の 隙間うかがふ 隙間風
富安風生

 

ほのゆるる 閨(ねや)のとばりは 隙間風
杉田久女

 

節東風

 

《意味》
節東風(せちごち)

…瀬戸内海にある山口県の周防大島(屋代島)あたりで陰暦12月ころに吹く東風で、雨を伴うことが多い。春の訪れが近いことを知らせる風。

 

 

たま風

《意味》
たま風(たまかぜ)

…北日本沿岸、特に日本海沿岸でよばれる西北から吹く季節風。『たま』とは、西北方に集まって住む『亡魂』のこと。
類語)たば風

 

ならひ

《意味》
ならひ
… おもに関東地方に吹く北寄りの冬に吹く風のこと。北風(ならい)ともいう。

 

ならい吹く 森の日に寂ぶ 石舞台
佐々木静江

 

星の入東風

《意味》
星の入東風(ほしのいりごち)

… 陰暦10月中旬頃に吹く北東風のこと。

 

 

べっとう

《意味》
べっとう
…冬季、東京湾から東海道にかけて、漁村で用いられている風の名のこと。

 

べっとうや 道にはりつく こぼれ雑魚
三上冬華

 

虎落笛

《意味》
虎落笛(もがりぶえ)

… 寒く風の強い日に、立木や家や電線や鉄塔など、様々なものに激しい風があたって、ヒューヒューとまるで笛のような音をたてることをいう。

 

虎落笛 子供遊べる 声消えて
高浜虚子

 

一湾の 春まだ遠き 虎落笛
富安風生

 

石狩の 星吹きあげて 虎落笛
大郷石秋

 

雪風

《意味》
雪風(ゆきかぜ)

… 雪を交えて吹く風のこと。雪と風。

 

 

まとめ

今回は、『冬の風』にまつわる季語と俳句をご紹介させていただきました。

冬の冷たく強い風や、雪や雨まじりの風を表現する季語は数多くあります。

日本語は『冬の風』も表情豊かに表現することができますね。

『冬の風』をことばで表現するときの参考になれば幸いです!

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

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