【秋の季語】月をあらわす美しい言葉の数々♪情緒豊かな日本語の世界へ

ことばの表現

日本人は、古くから月とともに暮らしを立ててきました。

お月見などの行事は、秋の夜空に浮かぶ満月をたのしむ習慣です。暦や時間帯を月で表現する言葉も数多く存在します。

とりわけ【秋の季語】には、月に関する言葉がたくさんあります。

秋は夜空が澄みわたり、煌々と月が輝くうつくしい季節。

今回は、月にまつわる【秋の季語】をご紹介します。

繊細で、情緒豊かな日本語の世界を味わってみてくださいね。

 

秋の月・月の異称

月の異称

俳句など季語の世界では『月』という言葉は『秋の月』をさします。

こちらでは『月』の異称をあつめました。『月』にはさまざまな呼び名があります。

玉輪(ぎょくりん)
玉鏡(ぎょっきょう)
月球(げっきゅう)
月輪(げつりん、つきわ)
月夜烏(つきよがらす)
月よみ

 

 

月のかたちと見え方

月の形や見え方についての【秋の季語】をまとめました。

 

季語読みかた意味
月影つきかげ月の形、姿のこと。
月の鏡つきのかがみ晴れ渡った空にかかる満月のこと。月の形を鏡に見立てたことば。
月の暈つきのかさ月の周囲にあらわれる輪状の光のこと。
月暈(げつうん、つきがさ)ともいい、大気中に浮遊する水晶によって、月の光が反射または屈折して生じる光の環のこと。
類語:月の輪
月の舟つきのふね弓の形をした月のこと。月を大空を渡る舟に見立てた言葉。類語:月の弓
月の剣つきのつるぎ三日月のこと。
三日月みかづき陰暦3日ころに出る細い弓形の月のこと。月齢の若い月。
半月はんげつ半円形をした月のこと。
弦月げんげつ半月のこと。月が輝く部分を弓と張った弦にたとえた言葉。
類語:上弦の月(じょうげんのつき)、下弦の月(げげんのつき)
幻月げんげつ月の両側に1個ずつ、まるで別に月があるように見えること。空中の水晶により、光が屈折してできる暈の一種のこと。
弓張月ゆみはりづき仲秋の季語で、半月のこと。弦を張った弓のように見えることから命名された。
月蝕げっしょく地球が太陽と月の間に入り、地球の影が月にかかることにより、月が欠けて見える現象のこと。類語:月の蝕 つきのしょく)

 

 

月の時期と時間

月に関する言葉(季語)には、時間帯や時期をあらわしたものも数多くあります。

古くは、暦も月の動きにあわせて数えていました。

こちらでは、時期や時間帯に関する月の【秋の季語】をご紹介します。

月の時期

月は、時期や月の満ち欠けにより、さまざまな呼び名があります。

こちらでは、時期による月の季語(秋)をご紹介します。

 

季語読みかた意味
盆の月ぼんのつき陰暦7月15日にあたる、残暑の厳しいころの月のこと。
待宵まつよい陰暦8月14日の夜のこと、または、その夜の月のこと。15日の夜が主とすれば、その前夜にも趣きがあるといえる。
名月めいげつ仲秋、旧暦8月15日の月のこと。
曇る名月くもるめいげつ旧暦8月15日の夜、曇りのために月が見えないことをいう。
中秋の名月ちゅうしゅうのめいげつ仲秋、旧暦8月15日の月のこと。類語:芋名月、良夜
月今宵つきこよい旧暦8月15日の月、中秋の満月のこと。類語:今宵の月
端正の月たんしょうのつき旧暦8月15日の月、中秋の満月のこと。
名高き月なだかきつき旧暦8月15日の月、中秋の満月のこと。
望月もちづき旧暦8月15日の月、とくに満月のことをいう。類語:望の月
月の雲つきのくも旧暦8月15日の夜、曇っているため、待ちわびた名月が姿を見せぬことを言う。
立待月たちまちづき陰暦8月17日の月のこと。名月のあとは、月の出も遅くなり、欠けていく月のこと。
居待月いまちづき陰暦8月18日の夜の月のこと。立待月より少し遅れるため、居待月と呼ばれる。
臥待月ふしまちづき陰暦8月19日の夜の月のこと。月の出も遅く、まるで横になり待つほどであるというような月のこと。
更待月ふけまちづき陰暦8月20日の夜の月のこと。臥待月より月の出がさらに遅くなり、月を眺めるには夜が更ける頃まで待たなければならないというような意味。
夕月夜ゆうづきよ仲秋、旧暦8月の二日月から上弦のころまでの月のこと。この頃の月は出が早く、光は弱く、夜半には没するので、はかない感じがある。
初月しょげつ陰暦で、その月に初めて出る月のこと。
三日月みかづき陰暦3日ころに出る細い弓形の月のこと。月齢の若い月。
照る月波てるつきなみ三日月のころより二十日以降の有明月のころまで毎夜の月

 

 

陰暦9月の異称

『陰暦9月』にはさまざまな呼び名があります。

『陰暦9月』とは、新暦(現在の暦)では9月下旬から11月上旬のこと。その『陰暦9月』をあらわす季語をまとめました。

季語読みかた意味
長月ながつき陰暦9月の異称で、夜が長くなり、朝晩めっきり冷えるようになる時期のこと。
菊月きくづき陰暦9月の異称で、秋のことをいう。
菊咲月きくさきづき陰暦9月の異称のこと。
菊見月きくみづき陰暦9月の異称で、菊の花を見て賞する月のことをいう。
寝覚月ねざめづき陰暦9月の異称のこと。
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月と時間

こちらでは、『時間』とかかわりのある、月の季語(秋)をあつめました。

 

季語読みかた意味
月の出つきので月が東から出ること。または、その時刻。
月の出潮つきのでしお潮の満ち干が、月の満ち欠けに添っていることから、月の出るときに満ちてくる潮をいう。
月白げっぱく月が出る前に東の空が白む様子をいう。月代に同じ。
月代つきしろ月が東の空に昇る前、空がだんだん白んで明るくなる様子をいう。月白と同じ。
夕月ゆうづき夕方の月のこと。
夕月日ゆうつきひ夕日と月が2つ並んであること。秋の夕方の月のこと。
宵月夜よいづきよ宵の間だけ月が出ている夜のこと。宵とは、日が暮れて間もないころのことをいう。
月夜つきよ月のある夜、月光の明るい夜のこと。また、月、月光のこと。
夜半の月よわのつき夜中の月、深夜の月のこと。
月の入つきのいり月が西に沈むことをいう。また、その時刻のこと。類:入る月(いるつき)
朝月夜あさづくよ月が残っている明け方。また、明け方まで残っている月のこと。
朝月日あさつきひ朝日の出ている向いに、月が残っていることをいう。
残る月のこるつき夜が明けてもまだ空に残っている月のこと。
有明月夜ありあけづくよ有明の頃の月夜、月のこと。有明とは、月が残りながら夜が明けること、またその月のことをいう。類語:有明月
暁月夜あかづくよ夜明け方に出ている月のこと。有明の月のこと。
曙の月あけぼののつきほのぼのと夜が明けはじめる頃の月のこと。夜明け、東雲のころの月。
残月ざんげつ明け方まで空に残っている月のこと。
傾く月かたむくつき月が夜空から没しようとしていること。
月更くるつきふくる月が夜空から没していくこと。
月落つつきおつ月が没すること。
いるさの月いるさのつき没しようとしている月のこと。
昼の月ひるのつき昼間に出ている月のこと。

 

月の鑑賞と景色

秋の夜には、お月見(十五夜)などの静かに月を鑑賞する風習があります。

こちらでは、月を眺める鑑賞や、景色にまつわる月の季語(秋)をまとめました。

 

月を鑑賞

お月見など、月の鑑賞に関する【秋の季語】です。

月見、観月、月の客、月の友、
月の主(つきのあるじ)、
片月見、
月の宴、月見酒、月見団子、
月見船、月見茶屋、
宿の月、月見ござ、
月祭る(つきまつる)
月待ち(つきまち)
…月が出るのを待ちながら、お供え物を供えて、酒宴を催して月を祭ることをいう。
十三夜、十五夜、十七夜、十九夜、二十三夜、二十六夜などがある。

 

お月見ができない時

雨や曇りの日は、月を鑑賞することができない時もあります。

そのような時の【秋の季語】をご紹介。

雨で月が見られないときの悲しい気持ちをあらわした言葉です。

雨月(うげつ)
中秋の名月が雨のために眺められないこと。また、名月が鑑賞できないのを惜しむ気持ちをあらわす。
類語:雨夜の月、雨の月、月の雨
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月と景色

月の景色や、月の見え方などの【秋の季語】をご紹介します。

季語読みかた意味
秋の月あきのつき秋の済んだ夜空に冴えて輝く月のこと。秋の月夜のこと。
薄月うすづき薄雲がかかってほのかに光る月のこと。
金波きんぱ薄雲がかかってほのかに光る月のこと。
さやけき月さやけきつき明るく清々しい月の光や月の様子のこと。
月清しつききよし月が清らかな光を放っていること。
月澄むつきすむ月の光や色などが、曇りなくはっきりと見えること。
月の秋つきのあき月が美しい秋のこと。
月の出潮つきのいでしお月が出てくるとともに満ちてくる海の潮のこと。
月の隈つきのくま月の陰りや曇りのこと。月の見え方が、煌煌と陰りもなく見ることができないさま。
月の氷つきのこおり月の光が、まるで氷のように冴えて冷たく輝くさまをあらわす言葉。
月の霜つきのしも月光が冴えわたり、地上を白く照らすさまを霜とたとえた。
月の光つきのひかり月がかがやく光のこと。
月の水つきのみなは「みなは」とは、水の泡のこと。月の光を水の泡に見立てた言葉。
月の雪 つきのゆき 月の光の美しさを、地上に降り積もった雪の輝く白さにたとえたもの。
月渡るつきわたる月が秋の夜空を渡ることをいう。
葉越しの月はごしのつき葉と葉の間をとおして、月が見えるさまをあらわす言葉。
氷鏡ひょうきょう氷でできた鏡のように冴え輝く月のこと。
氷輪ひょうりん氷のように冷たく輝く月のこと。
窓の月まどのつき窓から眺める月、または、窓に差し込む月の光のこと。
星月夜ほしづくよ星の光がまるで月のように明るい夜のこと。星夜。

 

月とこころ

月に関する【秋の季語】には、人のこころをあわらす言葉もあります。

季語読みかた意味
心の月こころのつき悟りが開けた境地を月にたとえていう言葉。清く明らかで迷いのない心。
盃の光さかずきのひかり盃の光を月に見立てて、月を待つ心のことをいう。
真如の月しんにょのつき真如によって煩悩の迷いが晴れることを、明月が闇を照らすのにたとえていった言葉。
法の月のりのつき仏法が世人の迷闇(めいあん)を救うのを、月が闇夜を照らすのにたとえていう言葉。
胸の月むねのつき悟りを開いた心を、清く澄む月にたとえていう言葉。また、心に曇りがなく、清いさまにもいう。

 

 

月と物語

月には、物語もあります。

月にいる兎の話もそのひとつ。月には、幻想的で不思議な魅力があります。

こちらでは、そのような物語的な月の季語(秋)をまとめました。

季語読みかた季語
月の兎つきのうさぎ月にいるとされる兎のこと。
月の蛙つきのかえる
つきのかわず
月の中に住んでいるとされる蛙のこと。
月の桂つきのかつら古代中国の伝説で、月の中にはえているといわれる高さ約1,500mの桂の木のこと。月桂(げっけい)のこと。
月のねずみつきのねずみ月にいると想像されたねずみのこと。
月の都つきのみやこ月の中にあるといわれる宮殿のこと。また、月の世界のこと。
月よみつきよみ月の神のこと。『古事記』『日本書紀』にでてくる天照大神の弟のことであり、月を神格化した男神である月読尊からの言葉。月の異名。
月夜烏つきよがらす月のよい夜に浮かれて鳴く鳥のことをいう。夜遊びをする人にたとえていうこともある。月の異名。
月宮殿げっきゅうでんインド神話で月が神格化された『月天子(がってんし)』が住む月にある宮殿のことをいう。転じて、月の都や月の世界をあらわす。
水精すいせい水の精、月のこと。


夏井いつきの「月」の歳時記

 


2021年版 夏井いつきの365日季語手帖

 

 

まとめ

今回は、月にかんする【秋の季語】をご紹介しました。

俳句などの季語の世界で『月』といえば、『秋の月』をあらわし、『月』自体も
【秋の季語】です。

それだけに、【秋の季語】には、月にかんする言葉が数多く存在します。

月そのものの見え方や輝きに焦点をあてたもの、月の満ち欠けや出る時間帯などをあらわした言葉など、月の季語もさまざま。

日本語は本当に繊細で豊かな表現力がありますね。

このように存在することばを知って使って、より表現に奥行きがでると、自分自身の感覚も研ぎ澄まされていきそうですね^^

最後までお読みいただきありがとうございました。

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