秋になると日増しに、日が暮れる時間がはやくなっていきます。
『釣瓶落とし』なんて言葉もありますが、
秋になると本当にあっというまに暗くなりますね。
秋は夜を楽しむ季節。
『秋の夜長』という言葉もあります。
今回は、【秋の夜】に関する季語をあつめました!
言葉で秋の夜を堪能してみてくださいね^^
【秋の季語】
こちらでは『秋の夜』にかんする
【秋の季語】をご紹介します。
『秋の夜』
『秋の夜』をあらわす季語や、『秋の夜』にまつわる季語をあつめて、一覧にまとめました。
はじめに『秋の夜』をあらわす季語には、
代表的なものとして、つぎの3つの季語があります。
- 秋の夜(あきのよ)
秋の夜のことをいうが、とくに空気の澄んだ秋の夜のことをいう。長い夜の意味も含むことが多い。 - 秋夜(しゅうや)
秋の夜のことをいい、夜長のこともいう。 - 夜半の秋(よわのあき)
秋の夜がいっそうふけわたった感じのことをいう。
ちなみに、『夜の秋』という季語もありますが、こちらは【夏の季語】(晩夏)のものになります。
秋の夜をあらわす【秋の季語】は、ほかにもたくさんあります!つぎの一覧のとおりになりますので、ぜひ、使ってみてくださいね。
季語 | 読み方 | 意味 |
秋の暮 | あきのくれ | 秋の日の夕暮れのこと。または、秋の季節の終わりの頃、晩秋のこと。 |
秋の灯 | あきのひ | 秋の夜に灯す灯火のこと。 |
秋の宵 | あきのよい | 秋の一日が暮れて夜がまだ更けない時分のことをいう。 |
秋の夕べ | あきのゆうべ | 秋の日の夕方のこと。秋の物悲しい情趣がとりわけ深く感じられる時のこと。 |
天の川 | あまのがわ | 晴れた夜空に帯状に見える恒星の集まりのこと。地球から銀河系の内側を見た姿で、夏から秋にかけてよく見える。 |
銀河 | ぎんが | 天の川のことで、地球上から見た時の銀河系。また、銀河系と同等の規模をもつ無数の恒星や星間物質からなる集合体のこと。 |
十六夜 | いざよい | 満月の翌日、十六日のこと。陰暦8月16日を指す。 |
十三夜 | じゅうさんや | 月は初月にはじまって徐々に満月へ向かうが、十三夜とは、十五夜の2日前の月のこと。陰暦9月13日の夜のこと。 |
十五夜 | じゅうごや | 陰暦の毎月15日の満月の夜のこと。通例は、陰暦8月15日の夜をいう。 |
不知火 | しらぬい | 九州八代海と有明海の沖に、陰暦8月1日前後の深夜に、無数の火が明滅してゆらめき動く現象のことをいう。漁船の漁火が異常屈折によって光像をつくるために起こる。 |
良夜 | りょうや | 陰暦8月15日の中秋の名月の夜のこと。月光が鮮やかに中天にあり、清明なる夜を楽しむさまをあらわしている言葉。 |
秋燈 | しゅうとう | 秋の明かりのことで、秋の夜の澄明(ちょうめい)な感じの灯のこと。 |
釣瓶落とし | つるべおとし | 秋はあっというまにストンと日が暮れる。その速さをまるで井戸に釣瓶が落ちていくようだとたとえた言葉。 ※釣瓶とは、井戸で水をくむために、縄などのさきにつけて落とす桶のこと。 |
燈火親しむ | とうかしたしむ | 秋は夜が長く涼しいので、読書には絶好の季節であるということ。 |
長き夜 | ながきよ | 夜明けまでの時間が長いことの意味で、とくに秋の夜のことをいう。 |
二十三夜 | にじゅうさんや | 陰暦で23日の夜のこと。また、その夜の月待ち行事をいう。 |
待宵 | まつよい | 中秋の名月の前夜、陰暦8月14日の夜のことをいう。 |
夕月夜 | ゆうづくよ | 陰暦8月の二日月から上弦の頃までの、宵に現れ夜半までには没する月の夜のこと。 |
夜食 | やしょく | 夜遅くに取る軽い食事のこと。かつて農村では、秋の収穫時期には夜も家の中で仕事をしていた。夜遅くまで働いていると空腹をおぼえる。その際、ありあわせの野菜などでこしらえた雑炊などを夜遅くに食べていた。 |
宵闇 | よいやみ | 月の出が遅くなる、陰暦16日ごろから20日ごろまでの、宵の暗さのこと。また、その時刻をいう。とくに、中秋の名月を過ぎてからの宵の暗さのこと。 |
夜長 | よなが | 夜が長いこと。また、夜が非常に長く感じられる季節のこと。 |
夜庭 | よにわ | 夜に土間で籾摺りをすること。囲炉裏がある農家の土間は仕事場でもあり、庭という。 |
夜寒 | よさむ | 晩秋の夜に感じる寒さのこと。 |
夜なべ | よなべ | 夜間におこなう作業や仕事のこと。夜に鍋で夜食をつくりながら仕事をしたことから生まれた言葉。 |
※こちらの記事もおすすめ!
こちらの記事では【秋の季語】を一覧でご紹介しています!あわせて俳句もまとめています。
>>【秋の季語】一覧まとめ!ことばの意味や俳句もご紹介します♪
>>【秋の季語】一覧まとめ!ことばの意味や俳句もご紹介します♪
『月と星』
こちらでは、秋の『月や星』にかんする季語をご紹介します。
季語 | 読み方 | 意味 |
秋の星 | あきのほし | 秋に見られる星のこと。 |
芋名月 | いもめいげつ | 芋の収穫期の訪れる十五夜の月、陰暦8月15日の満月のこと。 |
観月 | かんげつ | 月、とくに仲秋の名月を鑑賞すること。 |
銀河 | ぎんが | 天空を帯状に横切ってかかり、淡い光の川のように見える、星の集団のこと。天の川。銀漢、天漢ともいう。 |
月光 | げっこう | 月の光のこと。月影。 |
月今宵 | つきこよい | 陰暦8月15日、中秋の満月のこと。 |
月白(月代) | つきしろ | 月が出ようとするとき、東の空が白んで空が明るく見えること。 |
月の宴 | つきのうたげ | 月を眺めながら催す宴のこと。 |
月の雲 | つきのくも | 陰暦8月15日の夜、曇って待ちわびた名月が姿を見せないことをいう。 |
月の友 | つきのとも | 陰暦8月15日、月見の座に連なる客のこと。お月見の友のこと。 |
月見団子 | つきみだんご | 陰暦8月15日と九月十三夜のときに月に供えるお団子のこと。 |
名月・明月 | めいげつ | 曇りなく澄み渡った満月のこと。陰暦8月15日の月のこと。 |
後の月 | のちのつき | 陰暦9月13日夜の月のこと。 |
名残の月 | なごりのつき | 陰暦9月13日夜の月のこと。 |
豆名月 | まめめいげつ | 陰暦9月13日夜の月のこと。枝豆を供えることから。 |
真夜中の月 | まよなかのつき | 陰暦23日の夜の月のこと。 |
夜半の月 | よはのつき | 夜中の月、深夜の月のこと。 |
夕月夜 | ゆうづくよ | 陰暦8月の二日月から上弦の頃までの、宵にあらわれ夜半までには没する月の夜のこと。 |
無月 | むげつ | 陰暦8月15日の夜に雲が広がり、待ちかねた中秋の名月が見えないことをいう。 |
碇星 | いかりぼし | カシオペア座の和名。カシオペア座は、北極星を挟んで北斗七星と向かいあうWの形をした星座。 |
星河 | せいが | 天の川、銀河のこと。 |
二つ星 | ふたつぼし | 織姫と彦星で親しまれている、天の川を挟んで輝く織女星(しょくじょせい)と牽牛星(けんぎゅうせい)のことをいう。 |
妻迎舟 | つまむかえふね | 対岸の織女を迎えるために牽牛が出す舟のこと。 |
星合 | ほしあい | 陰暦7月7日、天の川を挟んで牽牛星と織女星の二星が接近することをいう。 類語:星迎、星逢う夜、星の恋、星合の浜、星の別れ、星合の空 |
星月夜 | ほしづきよ | 晴れて星の光が月のように明るい夜のこと。 |
星の橋 | ほしのはし | 牽牛と織女が逢うとき、カササギが天の川をうずめて橋を成し、織女を渡すという中国の古伝説のこと。 |
星の薫物 | ほしのたきもの | 宮中で七夕の星を祭る際、庭の立琴の傍らに置いた香炉に、終夜焚かれた香のこと。※類語:星の薫 |
星飛ぶ | ほしとぶ | 星が光を発して飛ぶ現象のこと。 ※類語:星流る、星走る |
流星 | りゅうせい | 流れ星のこと。※『流れ星』も秋の季語。 |
※あわせて読みたい記事!
こちらの記事では、月にまつわる【秋の季語】をたくさん集めてご紹介しています!
>>【秋の季語】月をあらわす美しい言葉の数々♪情緒豊かな日本語の世界へ
>>【秋の季語】月をあらわす美しい言葉の数々♪情緒豊かな日本語の世界へ
秋の夜の【俳句】
『秋の夜』にかんする季語をつかった
俳句 50選をご紹介します!
秋の夜を打ち崩したる咄(はなし)かな
松尾芭蕉
松尾芭蕉
秋の夜も そぞろに雲の 光りかな
加藤(久村)暁台
加藤(久村)暁台
秋の夜や 旅の男の 針仕事
小林一茶
小林一茶
秋の夜の オリオン低し 胸の上
石田波郷
石田波郷
秋の夜の まだまだ深み ゆくらしく
長谷川櫂
長谷川櫂
夜着の香も うれしき秋の 宵寝かな
各務支考
各務支考
亡き父の 秋夜濡れたる 机拭く
飯田龍太
飯田龍太
逢坂の町や 針研ぐ 夜半の秋
高井几董
高井几董
軒に寝る 人追ふ声や 夜半の秋
与謝蕪村
与謝蕪村
山鳥の 枝踏みかゆる 夜長かな
与謝蕪村
与謝蕪村
うきぐもの 雨こぼし去る 夜長かな
久保田万太郎
久保田万太郎
長き夜の ところどころを 眠りけり
今井杏太郎
今井杏太郎
長き夜の 街の灯見つゝ 看取妻
稲畑汀子
稲畑汀子
よそで鳴る 夜長の時計 みなが聞く
長谷川素逝
長谷川素逝
よそに鳴る夜長の時計 数へけり
杉田久女
杉田久女
山風は 山にかへりぬ 夜長酒
上田五千石
上田五千石
犬が来て 水のむ音の 夜寒かな
正岡子規
正岡子規
枯枝に 鳥のとまりたるや 秋の暮
松尾芭蕉
松尾芭蕉
去年より 又さびしいぞ 秋の暮
与謝蕪村
与謝蕪村
青空に 指で字をかく 秋の暮
小林一茶
小林一茶
秋の暮 山脈いづこへか 帰る
山口誓子
山口誓子
すゝきふく 風もやみけり 秋のくれ
中島黙池
中島黙池
ゆつくりと 山が隠れて 秋の暮
淺井一志
淺井一志
夢さめて おどろく闇や 秋の暮
水原秋櫻子
水原秋櫻子
渚なる 白浪見えて 良夜かな
高浜虚子
高浜虚子
消すよりも 灯すがさみし 秋の宵
奥野昌子
奥野昌子
しづかなるものを 丸めて あきの月
成田蒼虬
成田蒼虬
葛の葉の 裏まで秋の 月夜かな
栗田樗堂
栗田樗堂
涼しさの かたまりなれや よはの月
安原貞室
安原貞室
やすやすと 出ていざよふ 月の雲
松尾芭蕉
松尾芭蕉
十六夜といふ名を持ちて 月昇る
星野立子
星野立子
山茶花の 木間見せけり 後の月
与謝蕪村
与謝蕪村
目をつむれば 蔵王権現 後の月
阿波野青畝
阿波野青畝
名月や 池をめぐりて 夜もすがら
松尾芭蕉
松尾芭蕉
名月や 夜は人住まぬ 峰の茶屋
与謝蕪村
与謝蕪村
名月や とってくれろと 泣く子かな
小林一茶
小林一茶
舟底を 無月の波の たたく音
木村蕪城
木村蕪城
火を焚けば 火のうつくしき 無月かな
栗生純夫
栗生純夫
無月なる 杉の梢や 瑞巌寺
高野素十
高野素十
月しろや むかしに近き 須磨の浦
上島鬼貫
上島鬼貫
秋の星 ひとつひとつの 遠きかな
今井杏太郎
今井杏太郎
江に添うて 流るる影や 天の川
加藤(久村)暁台
加藤(久村)暁台
北国の 庇は長し 天の川
正岡子規
正岡子規
荒海や 佐渡によこたふ 天河
松尾芭蕉
松尾芭蕉
天の川 星より上に 見ゆるかな
加舎白雄
加舎白雄
星月夜 さびしきものに 風の音
楓橋
楓橋
風落ちて 雲り立ちけり 星月夜
芥川龍之介
芥川龍之介
星飛ぶや 寝ねし 我家へ 帰りつく
篠原温亭
篠原温亭
これほどの 星これほどの 流れ星
今井肖子
今井肖子
流星や 音一つなき 島の宿
稲畑汀子
稲畑汀子
※こちらの記事もおすすめ!
『冬銀河』という【冬の季語】について、解説しています!
>>【冬の季語】『冬銀河』とはなに?言葉の意味や俳句などご紹介します!
>>【冬の季語】『冬銀河』とはなに?言葉の意味や俳句などご紹介します!
『冴ゆる』という綺麗な響きの【冬の季語】について、意味や使い方・俳句などをご紹介しています♪
>>【冬の季語】『冴ゆる』の意味とは?言葉の使い方と季語や俳句もご紹介!
>>【冬の季語】『冴ゆる』の意味とは?言葉の使い方と季語や俳句もご紹介!
日本という方法 おもかげの国・うつろいの国(角川ソフィア文庫)
まとめ
今回は、秋の夜にまつわる季語や俳句をあつめてご紹介させていただきました!
秋は夜が長くなる季節。冬に向かって、寒さも増していきます。
陰陽五行では、秋は『陰の季節』になります。
室内で夜を静かに過ごしながら、自分と向き合うのもとってもよい季節。
そんな秋の季節の特徴もあり、夜にかんする季語が多いのかもしれません。
秋の夜にかんする季語や俳句など、言葉での世界でも季節を感じることができて、とても味わい深いですね^^
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
コメント