『彼はまともな人間だから』の【まとも】という言葉。
【まとも】は、漢字では【真面】と書きます。
いったいこの言葉は、どのようにして現在のようになったのでしょうか?
【まとも】とは、おおむね『正しさ』をあらわす言葉ですが、その言葉の奥にある意味合いは微妙に違います。
今回は、この【まとも】の意味や由来、言葉の使い方について解説していきます!
『まとも』の意味
【まとも】の意味は、つぎのとおりです。
- 真正面のこと
- ちゃんとしている様。真面目
(出典:岩波国語辞典) - きちんと向かい合うこと。真正面
- 道理にかなっていて、他人から非難される点のないこと。
きちんとしていていかがわしい点がないこと。また、そのさま
(出典:三省堂大辞林)
【まとも】を漢字で書くと【真面】となります。
『まとも』の由来について
つぎに、【まとも】の由来(語源)についてご紹介します。
【まとも】の由来(語源)は、つぎのとおりです。
- 【真つ面(まつも)】が転じた言葉。
『真(ま)』は、正確にその状態にあることをあらわす。
『つ』は、『の』の意をあらわす助詞で、これが『と』に転じた。
『面(も)』は面のこと。
(出典:語源辞典形容詞編)
【真つ面】⇒【まとも】に転じた言葉です。
正面に向き合うこと、正道につくことをあらわし、まじめであることをいいます。
【まとも】には、【真艫(まとも)】という言葉もあります。
【真艫(まとも)】は、つぎのような意味になります。
- 舟の真後ろからの方向のこと
(例)風を真艫に受けて進む
(出典:岩波国語辞典)
【真艫】とは、舟の船尾の正面のことをいいます。また、その船尾の正面に受ける風のこともいいます。
【まとも】とは、この【真艫】が語源という説もあります。
【真艫】という船尾に受けた風は、追い風となって真正面に進んでいきます。
まさに正道であり、一番効率的な進み方です。
【まとも】であることは、人生においても追い風であり、順風満帆です。
まじめで【まとも】であることは、一見、面倒で損をするような場面もあるかも知れませんが、最終的には、一番効率的で、正道ということになるのでしょう。

【まとも】って
いいことばだにゃぁ

つぎは【まとも】の言い換えや
使い方を教えるにゃ!
『まとも』の言い換えと使い方
【まとも】を別の言葉に言い換えるとき、意味に含まれる要素を抜き出して言葉を選ぶと、比較的ぴったりとした言葉に言い換えることができます。
【まとも】について、4つの要素にわけました。
それぞれつぎのような類語・言い換えができます。
①道徳的正しさや公正さ
道徳的正しさや素晴らしさ、公正や良心、正直さなどをあらわすときの類語です。
- 私は、まともな取引を行うところで、契約することにした。
- 私は、公正な取引を行うところで、契約することにした。
例文2)
- まともな大人の男性なら、そのくらいのことは理解している。
- 真面目な大人の男性なら、そのくらいのことは理解している。
例文2のように人に対して、【まとも】という言葉を使うことがしばしばあります。
この【まとも】という言葉には、つぎのような意味を含み、言い換えることもできます。
躾の行き届いた、立派に育った
②次元的に前進するような要素
空間、次元的に向かうときや、突き進んでいくようなときに使う類語です。
例文1)
- まともにボールを肩に受けてしまった。
- ダイレクトにボールを肩に受けてしまった。
③性質や性能が充分であるとき
物ごとに対して、典型的な性質や性能が充分に満たされているときに使う類語です。
例文1)
- 今回は、まともなコーヒーメーカーを購入した。
- 今回は、本格的なコーヒーメーカーを購入した。
④純粋で回避や妥協のないさま
回避したり、妥協することなく、純粋で公正なようすをあらわす類語です。
例文1)
- 彼は、まともに質問を投げかけた。
- 彼は、単刀直入に質問を投げかけた。
まとめ
【まとも】という言葉について、ご紹介させていただきました。
【まとも】は、さまざまな場面で使われる使用範囲の広い言葉です。
言葉を使う状況により、表現する意味や意味合いが微妙に変化します。
とくに言葉を言い換えるときには、その奥に含まれる意味をくみ取って類語を選ぶことが大切です。
そして、言葉の由来を知ると、言葉の使い方や意味を、より深く理解することができるのではないでしょうか。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
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