『草臥れる』、
あなたはこの漢字を読めましたか?
『草臥れる』とは『くたびれる』と読みます。
なぜ、このような漢字で書くのでしょうか?
意味と関係あるの?由来は?などなど、ちょっと気になる言葉でもあります。
今回は、この『草臥れる』の意味や由来、
『疲れる』との違いも解説していきます!
『草臥れる』の意味
【くたびれる】は、漢字では【草臥れる】と書きます。
【草臥れる】の意味は、つぎのとおりです。
- (体や気をつかって)
疲れて元気がなくなる。 - 長く使ったために、古びて弱くなる。
- (動詞連用形に添えて)
疲れて嫌になるほど、~~する。
たとえば、『待ちくたびれる』
(出典:岩波国語辞典) - 年老いたり、苦労が続いたりして、気力や若さを失う。
(出典:デジタル大辞泉)
【くたびれる】とは、『ひどく疲れる』というような意味で、物でも人でも『疲れ果てるさま』をいいます。
『草臥れる』の漢字・由来
なぜ、【草臥れる】はこのような漢字で書くのでしょうか?
漢字の由来は、つぎのとおりです。
(出典:大和ことば辞典)
疲れ果てて草に伏す(臥す)様子から、
【草臥れる】
【草臥れる】とは日本古来の和語で、大和言葉です。
ちなみに『伏す』と『臥す』は同じ意味です。
- 【伏す、臥す】
- うつむいた形で体を地面・床に接するようにする。
たとえば、『泣き伏す』 - 腹ばいになる。または、横に寝る。
たとえば、『草に臥す』 - ※臥すは常用外の言葉
(出典:岩波国語辞典)
『伏す』と『臥す』には、
【横になる】
【地面に接するようにする】などの意味があります。
『伏す』は常用漢字ですが、『臥す』は常用外の漢字です。
【くたびれる】は『臥す』を使って、
【草臥れる】と書きます。
『草臥れる』って
『草に臥す』ように
疲れ果てることなんだにゃ。
『疲れる』と『草臥れる』は
なにが違うのかにゃあ?
『疲れる』との違いと意味
【草臥れる】と同じような意味の言葉で、
【疲れる】という言葉があります。
こちらでは、この2つの言葉の違いについて解説していきます。
『疲れる』の意味
はじめに【疲れる】の意味です。
- 精力を消費し、体力が弱り、神経がにぶる。
たとえば、『生活に疲れる』 - 長く使用したために弱ったり、質が低下したりする。
たとえば、『疲れた油』
(出典:岩波国語辞典)
このように、人が元気がなくなるさまや、物などが古びていくさまでは、【草臥れる】も【疲れる】も同じようなことを意味しています。
ではいったい、どのような部分で違いがあるのでしょうか?
つぎはその違いについて、解説していきます!
『疲れる』との3つの違い
【草臥れる】と【疲れる】の違いには、大きく3つのポイントがあります。
- 肉体面と精神面
- 物に対して使うとき
- 疲労の度合い
それでは、それぞれについて解説していきます。
1.肉体面と精神面での違い
【草臥れる】は、通常、肉体的疲労で使う言葉です。
一方、【疲れる】は、肉体的疲労にも、精神的疲労にも使われます。
なので、【疲れる】の方が、使用範囲が広いということになります。
肉体的疲労 | 精神的疲労 | |
草臥れる | 〇 | - |
疲れる | 〇 | 〇 |
2.物に対して使うとき
物に対して言葉を使うときにも、少し違いがあります。
【草臥れる】は、その物の状態や形状の悪化などをあらしますが、
【疲れる】はその物の質の低下をあらわします。
(物に対して使うときの表現) | (例文) | |
草臥れる | 状態や形状の悪化 | 父が長年愛用したくたびれたシャツ |
疲れる | 質の低下 | 疲れた油は酸化していて身体にもよくない |
3.疲労の度合い
疲労の度合いも、【草臥れる】と【疲れる】では違います。
【草臥れる】は、疲労度が大きいときに使う傾向があります。
意味のところでもお伝えしましたが、『ひどく疲れている』『疲れ果てている』などのような状態のときに使う言葉です。
一方【疲れる】は、疲労度が大きくても、小さくても使います。
なのでこの場合も、【疲れる】の方が使用範囲が広いということになります。
(疲労の度合い) | (例文) | |
草臥れる | 大きいときのみ | 今日はさんざん歩き続けて本当にくたびれた |
疲れる | 大きいとき | 働きづめの日々でとても疲れた一週間だった |
小さいとき | 好きなことに没頭する時間は心地よい疲れをもたらしてくれる |
このように【草臥れる】よりも【疲れる】の方が、総合的に使用範囲が広いことがわかります。
さいごに、使用範囲の違いは、つぎのような点でもわかります。
『疲れる』に近い意の和語。広く使える『疲れる』に比べ会話的で、硬い文章には不向き。
【疲れる】
会話的な『くたびれる』とは違って、くだけた会話から硬い文章まで幅広く使われる日常語。
(出典:日本語五感の辞典)
このように【草臥れる】はとても会話的な言葉です。
一方【疲れる】は会話から硬い文章まで使うことがきます。
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古めかしい俗語『くたぶれる』
さいごに、古めかしい俗語についてご紹介します。
実は【草臥れる】とは、『くたぶれる』とも読みます。こちらは、現在ではほとんど使われなくなった古めかしい俗語です。
意味は『くたびれる』と同じです。
昭和の名作・小津安二郎監督の映画でそのような言葉を使うシーンを見ることができます。
昭和の初めころの俗語には、ちょっと品のような、正しさのような雰囲気がただよっているように感じますね。
気になる方は、こちらの映画も観てみてください^^
>>【大和言葉の使い方】日常で活用できる品のある言い回しで表現力に磨きをかけよう!>>『ありがとう』を大和言葉で表現。丁寧に感謝を伝える日本のことば。
まとめ
【草臥れる】について解説しました。
要点をまとめるとつぎのとおりです。
- 【草臥れる】
『ひどく疲れている』ことをいい、『疲れ果てているさま』を表す言葉
会話的な言葉 - 【草臥れる】と【疲れる】は、
ほぼ同じ意味合い
【疲れる】の方がより使用範囲が広い
【草臥れる】の古めかしい俗語の『くたぶれる』は、古い映画や書籍で触れることができます。新鮮な気分をあじわえるかも知れませんよ^^
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
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