春の夜空をいろどる月や星、あなたはどんな印象を持っているでしょうか?
『朧月』という言葉がありますが、この言葉は、【春の季語】。
春の月には、薄ぼんやりと淡くやさしい光を放つ印象がありますよね。
霞みがかった空は、昼間でも『春霞』(春の季語)などとも言われ、この薄ぼんやりとした空気こそが、春の空気なのかもしれません。
昼は『霞』で、夜は『朧』。昼と夜で呼び名が変わりますが、実はおなじ状態をさしています。
今回は、この薄ぼんやりとした柔らかな春の夜空にまつわる【春の季語】と俳句をご紹介していきます!
春の季語『月』
こちらでは、『月』をあらわす春の季語をあつめて、一覧にまとめました。
季語 | 読みかた | 意味 |
朧月 | おぼろづき | 春の夜、ぼんやりとかすんで見える月のこと。 |
朧月夜 | おぼろづきよ | 月がぼんやりと霞んでいる春の夜のこと。 類)朧夜(おぼろよ) |
春の月 | はるのつき | 春のほのぼのとした風情のある月のこと。春は空気中の水分が増す季節なので、月も心なしか潤って見える。 類)春月(しゅんげつ) |
春満月 | はるまんげつ | 春の月が出ている夜のことをいう。 |
春月夜 | はるづきよ | 春の月が出ている夜のことをいう。 |
花月夜 | はなつきよ | 桜の花が咲いた美しい月夜のこと。 |
桜月夜 | さくらづきよ | 桜の花が咲き、月が明るく輝く夜のこと。 |
春三日月 | はるみかづき | 春の西空にかかる月齢三日の夕月のことをいう。 |
柳の月 | やなぎのつき | 春の月夜の柳のこと。 |
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『月』の俳句
『月』にかんする春の季語を使った俳句をいくつかご紹介します。
ぜひ、参考にしてみてくださいね^^
(きよみずの うえからでたり はるのつき)
森川許六
(みずからの ひかりにぬれて はるのつき)
赤松蕙子
(はるのつき さはらばしずくたりぬべし)
小林一茶
(かれしばの あかるうなりぬ はるのつき)
日野草城
(はるのつき かれきのなかを のぼりけり)
正岡子規
(もりをでて たえにもしろし はるのつき)
原石鼎
(はるのつき しらじらと ちのこえをまつ)
飯田龍太
(いろつやも はなやうばいて おぼろづき)
雛屋立圃
(みずかげを くめどこぼせど おぼろづき)
加賀千代女
(あめちかき でゆのけぶりや おぼろづき)
沼波瓊音
2月~4月の春の季語をそれぞれご紹介しています!
>>【春の季語】『2月』『3月』の季節を感じる春の言葉をあつめました。
>>【春の季語】4月・花や植物、生きものや生活・行事などの季語一覧
春の季語『星』
こちらでは、『星』に関する春の季語をあつめて、一覧にまとめました。
季語 | 読みかた | 意味 |
春の星 | はるのほし | 春の夜空におぼろに霞む星のこと。 類)春星(しゅんせい) |
春北斗 | はるほくと | 春の夜に見える北斗七星のこと。宵に見える位置が最も高くなる季節が春であり、冬季に姿を見ないだけに、ことに春の到来を感じられる。春の北斗七星はとても明るいので、冬のオリオン座とともに見つけやすい。北斗七星は、星座の名ではなく、大熊座のなかの七つの星のことをいう。 |
船星 | ふなぼし | 春の夜に見える北斗七星のこと。柄杓の枡の先の部分から、枡の深さの五倍先の位置にあるのが北極星。船星は、伏せた柄杓の柄の方から五星を船の形と見たもの。 |
酒星 | さかぼし | しし座の右下の三つ並んだ星を酒旗に見立てたもの。 |
星朧 | ほしおぼろ | やわらかな春の夜気に包まれ、空の奥深くかすかに仰がれる星のこと。 |
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『星』の俳句
こちらでは、『星』に関する春の季語をつかった俳句を10選ご紹介します!
(きらぼしの なかにわがほし はるのほし)
富安風生
(またたきの はやまぎれなく はるのほし)
小川匠太郎
(のぼりゆく げんていはるの ほしすぐに)
河野南畦
(ポケットに レモンがひとつ はるのほし)
成瀬桜桃子
(おおつぶの はるのほしなり かぜのうえ)
矢島渚男
(たびさびし しおみつおとと はるのほし)
中村汀女
(はるのほし とぼしけれども さみしからず)
高橋笛美
(しゅんせいの あたりのやきの あざしき)
飯田蛇笏
(しゅんせいと いうきらめきの ほのぐらし)
大槻紀奴夫
(しゅんせいの したたりむねに いだきあう)
佐怒賀正美
春の季語『夜』
こちらでは、『夜』にかんする春の季語をあつめて、一覧でご紹介します!
季語 | 読みかた | 意味 |
春の夜 | はるのよ | 春の夜には、なまめかしい感覚がまとわりついている。 類)春夜(しゅんや) |
春の闇 | はるのやみ | 月のない夜の闇や、月の出る前の暗さのことをいう。屋内、屋外どちらにも使用する。 |
春の宵 | はるのよい | 春の日が暮れて間もない夜のはじめの時間のこと。春の宵は、空気も生暖かく、万物に生の息吹が満ちている。 類)宵の春 |
夜半の春 | よわのはる | とっぷり更けた春の夜のこと。春の夜更け。 |
夜桜 | よざくら | 夜の桜の花。また、夜に眺める桜の花のこと。 |
灯朧 | ひおぼろ | 灯がおぼろに見えるようすのこと。 |
春暁 | しゅんぎょう | 春の夜明けの、東の空が白みかける頃のこと。 類)春の暁、春の曙、春の夜明 |
春の夕 | はるのゆうべ | 春の夕暮れのころのこと。春の宵ほどには更けていない時間帯で、まだ陽の気配はうっすら残っている一日の終わりのイメージ。語感もやわらかい。 類)春夕べ、春薄暮(はるはくぼ) |
春の夢 | はるのゆめ | 春の眠りの中で見る夢のことをいう。『春の夜の夢の如し』という言葉から、人の世のはかなさが表現されてきたため、そのような雰囲気も含むことばである。 |
夜桜 | よざくら | 夜の桜の花のこと。また、夜に桜花を見物することをいう。夜は、桜の木の周囲に灯籠や雪洞を灯したり、かがり火を焚いたりする。 |
花明かり | はなあかり | 桜の花が満開で、夜の暗闇のなかでもあたりがほの明るいことをいう。 |
御燈祭 | おとうまつり | 2月6日の夜、和歌山県新宮市神倉神社にておこなわれる例大祭のこと。 |
鳥羽火祭 | とばひまつり | 2月第二日曜日に愛知県西尾市鳥羽町の鳥羽神明社で行われる神事のこと。茅と竹で作った5メートルほどの「すずみ」と呼ばれる巨大な松明に火をつけて神木と十二縄を取り出すのを競い合い、1年の天候と豊凶を占う。 |
阿蘇火振り神事 | あそひぶりしんじ | 熊本県阿蘇市阿蘇神社の火祭り神事のこと。 |
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こちらの記事では、『春霞』について解説しています!
>>【春の季語】『春霞』の時期とは?ことばの意味や使い方、俳句をご紹介します!
『夜』の俳句
こちらでは、『夜』にかんする春の季語を使った俳句を一覧にまとめました♪
(めつむれば わかきわれあり はるのよい)
高浜虚子
(がんかもの きげんなおるや はるのよい)
小林一茶
(はるのよは さくらにあけて しまいけり)
松尾芭蕉
(はるのよや ふしみあたりの かたはたご)
大江丸
(はるのよや くらがりはしる こじょうちん)
正岡子規
(はるのよや あめをふくめる すまのつき)
松岡青蘿
(せんりより いちりがとおき はるのやみ)
飯田龍太
(めつむりて ひらきておなじ はるのやみ)
森 澄雄
(しゅんぎょうや たみずにすっと ひがはしり)
松村蒼石
(ゆきつけし ひだのくにみゆ はるのゆう)
前田普羅
(わがたびも いくよがねつる はるのゆめ)
五升庵蝶夢
(よざくらの ぼんぼりのじの あわおこし)
後藤夜半
まとめ
今回は、夜空と月・星にかんする【春の季語】と俳句をご紹介させていただきました。
春の夜空や月、星をあらわすさまざまな【春の季語】は、どことなくつつましやかで、ちょっぴり艶やかな雰囲気を感じましたが、あなたはどんな印象を持ったでしょうか?
素敵な表現のことばがたくさんありますので、ぜひ、活用してくださいね!
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
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