『冴ゆる』とは、【寒さが極まった状態】をあらわす言葉です。
冬の季語でもあります。
この『冴ゆる』は、『極寒』とおなじような意味のことばですが、受ける印象は大分違います。
なぜでしょうか? 『冴ゆる』には、ほかにももっと意味合いが含まれていそうです。
今回はこの『冴ゆる』という言葉について、意味や類語、俳句などをご紹介していきます!
『冴ゆる』意味
『冴ゆる』の意味は、つぎのとおりです。
凛とした寒さが際立つ感じ、
寒さが一層増す感じ、
などをあらわす語。冬の季語。
(出典:実用日本語表現辞典)
『冴ゆる』という言葉は冬の季語で、非常に冷えて、寒さが一段と際立つ感じをあらわす言葉です。
『冴ゆる』って、
凛とした寒さにゃんだね。
冴ゆるは、
空気と関係ありそうだにゃあ。
次は使い方を紹介するにゃ!
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『冴ゆる』使い方
はじめに『冴ゆ』という季語について、歳時記の本ではつぎのように解説されていましたので、ご紹介します。
寒さが極まって、透明感あるいは
澄明感(ちょうめいかん)すら醸し出された状態をいう。
天井の月、星をはじめ風や闇までも冴える。さらに声や物音、楽器の音も背筋のぞくぞくするような寒気に似て響いてくる。
温もりや暖かさを峻拒(しゅんきょ)した潔さである。
※峻拒…きっぱりと断ること。厳しくこばむこと。
(出典:角川俳句大歳時記 冬)
こちらの解説からもわかるとおり、
『冴ゆ』や『冴ゆる』という言葉は、寒さが極まり、物すごく寒い状態をあらわした言葉です。
とりわけ、この寒さが極まったときの空気や大気の感じと、透明感や純度の高さを加味した表現になっています。
このようなことから、『冴ゆる』という言葉は、【ものすごく寒い】という状況を、
より感覚的かつ統合的に表現する言葉といえそうです。
では、感覚的・統合的に表現するっていったいどんなこと?って思いますよね。
それは、五感でとらえて表現するということです。
たとえば、肌で感じるような、触覚的にとらえた『冴ゆる』なら、
ピンと張りつめた空気が肌を刺すような感じとか、透明感あふれる冷たい空気に頬を切られるような寒さなどです。
視覚的にとらえる『冴ゆる』なら、
極寒で澄み渡る夜空にきらめく月や星など、です。
聴覚でとらえる『冴ゆる』なら、
寒さで空気が澄み、音がクリアに響き渡るような感じや、寒さ極まる夜に、除夜の鐘が、深く鳴り響くようすなどです。
実際、冬の季語には『鐘冴ゆる』ということばがあります。
いずれにしても、この『冴ゆる』という言葉の表現には、研ぎ澄まされた空気の透明感や純度の高さと関わりがあります。寒さを五感でとらえて表現することばといえるでしょう。
ただ単に『寒い』とか、『極寒』などと表現するよりも、
『冴ゆる』と表現すれば、感覚的で統合的かつ幅広い寒さをつたえることができます。
『冴ゆる』という言葉を使うときは、ぜひ、五感で寒さを感じて、
『これは、どんな感覚の寒さかな?』
『どんな感じの寒さを伝えようかな?』
と考えてみてくださいね。
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『冴ゆる』季語
『冴ゆる』にかんする冬の季語をあつめました。
冴ゆる月
月冴ゆる
冴ゆる星
星冴ゆる
冴ゆる風
霜冴ゆ
影冴ゆ(かげさゆ)
鐘冴ゆる(かねさゆる)
灯冴ゆ(ひさゆ)
声冴ゆ
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『冴ゆる』俳句
『冴ゆる』にかんする冬の季語をつかった
俳句をいくつかご紹介します。
(ものおとや さゆる かしわのたなごころ)
椎本才麿
(つきさえぬ あつくいれたる ちゃのかおり)
日野草城
(かねさゆる よるかかげても ひのきえんとす)
正岡子規
(さゆるよるの こころのそこに ふるるもの)
久保田万太郎
(ほしさえて かがりびしろき とりでや)
正岡子規
(しもさえて けはしくなける からすかな)
日野草城
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『冴ゆる』類語
こちらでは『冴ゆる』と似た意味の、類語にあたる冬の季語を一覧にまとめました。
類語 | 読みかた | 意味 |
凍つ(冱つ) | いつ | 寒気でこおりつくこと。凍ったように感じられること。 |
寒きびし | かんきびし | 冬の厳しい寒さのこと。 |
厳寒 | げんかん | 非常に厳しい寒さのこと。 |
極寒 | ごっかん | きわめて寒いこと。 |
酷寒 | こっかん | 厳しい寒さ、ひどい寒さのこと。 |
凍る(氷る) | こおる | 液体、とくに水が低温のため凝結して固体の状態になること。 |
凍む | しむ | 凍りつくこと。恐怖などでぞっとすること。 |
しばれる | しばれる | 凍りつくこと。刺すような寒さを感じること。北海道、東北地方で、厳しく冷え込んだときに使う言葉のこと。 |
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まとめ
今回は、『冴ゆる』という言葉についてご紹介させていただきました。
まとめるとつぎのとおりです。
- 意味は、凛とした寒さが際立つ感じ、寒さが一層増す感じ、などをあらわす語。
- 冬の季語
- ことばの使い方としては、寒さを感覚的にとらえて表現する。
- 『冴ゆる』にかんする冬の季語も数多くある。
『冴ゆる』は、厳しい寒さを五感でとらえて、感覚的、全体的に伝えるときに使うとよい言葉といえるでしょう。
あなたの表現の広がりに役立てば幸いです。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
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