『秋の雨』をあわらす季語を使った俳句をあつめました♪秋は雨の季節。

季節のことば・季語

秋は雨の季節。

夏から秋へと変わる頃、台風や激しい雨が降ることもしばしばです。

『秋霖(しゅうりん)』は、まるで梅雨のようにしとしとと降り続く秋の長雨のこと。

冬がすぐ目の前に来ている晩秋には、氷のように冷たい雨が降ります。

その雨は雪へと変わることも多く
『秋雪(しゅうせつ)』という言葉もあります。

今回は、秋の雨の季語を使った俳句と、関連する季語と俳句をまとめました。

ことばで秋の雨の世界、ぜひ堪能してくださいね♪

 

『秋の雨』季語・俳句一覧

『秋の雨』にかんする季語と俳句をご紹介していきます。

秋の雨

《季語の意味》
秋に降る雨のこと。秋は雨の多い季節でもある。
松の葉の 地に立ちならぶ 秋の雨
内藤丈草

 

秋の雨 胡弓の糸に 泣く夜かな
久村(加藤)暁台

 

馬の子の 故郷はなるる 秋の雨
小林一茶

 

塔頭の鐘 まちまちや 秋の雨
川端芽舎

 

しづかなる 音かさなりて 秋の雨
山口青邨

 

ひるまでも 灯のともりけり 秋の雨
正岡子規

 

秋の雨 笹青き上の 平かな
河東碧梧桐

 

雨すぢの 見えて音ある 秋の雨
原 石鼎

 

いひ残しおくべき事を 秋の雨
星野立子

 

この岸に 秋の雨ふる さわさわと
佐藤鬼房

 

高き木の そよぎみゆるや 秋の雨
久保田万太郎

 

提灯を つけてわたすや 秋の雨
久保田万太郎

 

雨だれの 棒の如しや 秋の雨
高野素十

 

ふるさとの 野山が濡るゝ 秋の雨
日野草城

 

秋雨

《季語の意味》
秋雨(あきさめ)と読み、秋の雨と同じく、秋に降る雨のことをいう。とくに秋の冷やかな雨のことをいう。
秋雨や ともしびうつる 膝頭
小林一茶

 

秋雨の 流るる屋根に 二階の灯
岡崎梨花女

 

丸い窓 秋雨ぬれ 波にぬれ
吉田汀白

 

秋湿

《季語の意味》
秋湿(あきじめり)といい、秋の長雨などで、空気が湿っぽくなること。
ひとりごと 言うては答ふ 秋湿り
深谷雄大

 

神霊の 宿る古木や 秋湿り
鈴木一広

 

秋霖

《季語の意味》
秋霖(しゅうりん)とよみ、初秋の候に訪れる長雨のこと。『秋の長雨』の別名。
秋霖に にじんできたる 薄日かな
矢島渚男

 

秋霖の しめやかにして 強き音
阿部みどり女

 

秋霖の 音のをりをり 白く降る
長谷川素逝

 

秋霖の いつかあたりとなくつつむ
長谷川素逝

 

秋霖の 夕焼ほのと 飛燕見ゆ
西島麦南

 

秋霖や 笠きせて発つ 島の馬
福田甲子雄

 

港の灯ともり 秋霖けぶらしぬ
稲畑汀子

 

秋黴雨

《季語の意味》
秋黴雨(あきついり)と読む。秋に降る雨のこと。
秋黴雨の 松の雫となりにけり
久保田万太郎
夕景の やゝに明るく秋黴雨
柴田白葉女

秋時雨

《季語の意味》
秋時雨(あきしぐれ)と読み、晩秋に降る時雨のことをいう。『時雨』という場合は、冬の季語になる。
秋時雨 塀をぬらして やみにけり
久保田万太郎
秋時雨 しろがねの鯉 ただよへ
目崎徳衛
川音は 粗に秋しぐれ 密に過ぐ
安住 敦
寺間町は 三十三寺 秋しぐれ
吉田未灰
さびしさや 那須笹山の 秋時雨
大場白水郎
怒濤より ほかに音なし 秋時雨
中村汀女
秋時雨 ふたゝび抜けて 日本
稲畑汀子
おかめ笹 しろがねの露 秋時雨
山口青邨
秋時雨 かくて寒さの まさり行く
高浜虚子

露時雨

《季語の意味》
露時雨(つゆしぐれ)と読む。秋になって露が一面に降りて、草むらや木立があたかも時雨が降った後のように、しとどになっている状態のこと。
露しぐれ 檜原松原 はてしなき
蝶夢
東雲や 八十坊の 露しぐれ
溝口素丸
提灯の ぬれてあかるし 露時雨
吉田冬葉
赤玉の 木の実も降や 露時雨
小林一茶
朝風の 零す旋律 露しぐれ
湯川雅

 

おかめ
おかめ

秋の雨も、
いろいろな雨があるんだにゃぁ。

小梅
小梅

次は、雨じゃないけど、
関連することばの
俳句を紹介するにゃ!

関連する季語・俳句一覧

こちらでは、『霧』や『露』、『雪』など、関連する秋の季語と俳句をご紹介していきます。

《季語の意味》
地表や海面付近で大気中の水蒸気が凝結して、無数の微小な水滴となって浮遊する現象のこと。平安時代以降、『霧』は秋のものをさし、春の同じ現象については、『霞』とよび分けるようになった。

 

風にのる 川霧かろし 高瀬舟
西山宗因
霧しぐれ 富士をみぬ日ぞ 面白き
松尾芭蕉
朝霧や 村千軒の 市の音
与謝蕪村
の道 現れ来るを 行くばかり
松本たかし
目覚めたる 森の別荘 の中
藤松遊子
霧にかんする《類語》
朝霧(あさぎり)、夕霧(ゆうぎり)、
夜霧(よぎり)
山霧(やまぎり)、
川霧(かわぎり)、野霧(のぎり)

狭霧(さぎり)、薄霧(うすぎり)、
霧の帳(きりのとばり)、
濃霧(のうむ)
霧の海(きりのうみ)、
霧の香(きりのか)、
霧雨(きりさめ)
霧の雫(きりのしずく)、
霧時雨(きりしぐれ
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霧雨は秋の季語ですが、こちらの記事では小雨との違いなどを解説しています!
>>霧雨と小雨の違いはなに?言葉の意味や表現方法、類語などもご紹介♪

 

秋霞

《季語の意味》
秋に見られる霞のこと。秋でも春のような霞がたなびく。
 門前に そびゆる獄や
飯田蛇笏

 

《季語の意味》
露は、晴れた朝に草の上などに見られる水滴のこと。地面や物体が露点以下の温度まで冷えると、大気中の水蒸気が凝結して生じる。
しら露や 無分別なる おき所
西山宗因
分けゆくや 袂にたまる 笹の露
蝶夢
夕かげや 草もぬらさぬ 露の玉
鈴木道彦

 

松を出て まばゆくぞある 露の原
夏目漱石
落ちかゝる 葉先のの 大いさよ
星野立子

 

露にかんする《類語》
白露(しらつゆ)、朝露(あさつゆ)、
夕露(ゆうづゆ)、
夜露(よつゆ)、
初露(はつつゆ)、上露(うわつゆ)

下露(したつゆ)、
露の玉(つゆのたま)、

露の秋(つゆのあき)、
露の宿(つゆのやど)、

袖の露(そでのつゆ)、
露の世(つゆのよ)、

露けし(つゆけし)、

 

露霜

《季語の意味》
露霜(つゆじも)と読む。晩秋に降りた露が、なかば結氷して、うすうすと霜になり始めているもののこと。
※類語:水霜(みずしも)
露じもや 丘の雀もちちとよぶ
富安風生
朝風や 水霜すべる 神の杉
幸田露伴

露寒

《季語の意味》
露寒(つゆさむ)(つゆざむ)と読む。晩秋の、露が霜に変わる頃の寒さのこと。
※類語:露冴ゆ(つゆさゆ)
露寒の この淋しさのゆゑ知らず
富安風生

 

露寒や 死ねと囁く 夜の汐
鈴木真砂女

秋の霜

《季語の意味》
立冬(11月7日頃)前に降りる霜のことをいう。
秋の霜 うちひらめなる 石のうへ
与謝蕪村
百年の 柱の木めや 秋の霜
志太野

秋の雪

《季語の意味》
秋の雪の意味は、立冬前に降る雪のこと。高山や北海道で降ることが多い。
秋の雪 北嶽たかく なりにけり
飯田蛇笏

富士の初雪

《季語の意味》
富士の初雪は、例年9月下旬あたり。しかし、この雪はたちまち消える。本格的雪化粧は、それより1か月ぐらい後になる。
富士新雪 これほどまでに 薄しとは
林 翔
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秋の水

《季語の意味》
秋になって冷ややかに澄み渡る水のことをいう。
秋の水 心の上を 流るるなり
加藤(久村)暁台

水澄む

《季語の意味》
秋になり、夏に比べて水が澄んでくることをいう。
水澄むや とんぼうの影 ゆくばかり
星野立子

 

水澄むや 天地(あめつち)にわれ ひとり立つ
森 澄雄

 

水澄めり けはひのごとき 魚の影
鷹羽狩行

 

まとめ

今回は秋の雨にかんする季語と俳句をご紹介しました。

秋は雨の多い季節ですので、季語も数多くあります。

冬へと向かう季節なので、雨も変化していきます。

刻々と表情を変える『秋の雨』。ことばを使って上手く表現してみてくださいね!

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

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