雪がつく季語といえば、もちろん
『冬の季語』だと思いますよね?
実は、雪のつく季語には
『冬の季語』と『春の季語』があります。
今回は、その中でも冬の季語と俳句をご紹介していきます!
雪と言えば、やっぱり冬のイメージですよね。
項目ごとに、季語と俳句をご紹介していますので、ぜひ参考にしてくださいね!
雪の俳句
雪にまつわる【冬の季語】と俳句をご紹介します。
状況や項目ごとに季語をわけました。その中には、子季語や類語にあたる季語もまとめています。
俳句は、それぞれの季語に関するものをいくつかご紹介しています。
雪
雪
・雪の異称(美称):
雪の花(ゆきのはな)、
雪華(せっか)、
・雪片(せっぺん):
雪のひとひら。雪の結晶体が互いにいくつか付着して、ある大きさになったもの。
・雪の声:
降る雪がものに触れてたてる音のこと。
雪空、深雪(みゆき)、
雪月夜(ゆきづきよ)、
雪明かり、夜の雪、
明の雪(あけのゆき)、
暮雪(ぼせつ)、雪国、
雪の宿(ゆきのやど)、
雪紐(ゆきひも)、筒雪(つつゆき)、
【俳句一覧】
(かぎりなく ふるゆきなにを もたらすや)
西東三鬼
(うまをさえ ながむるゆきの あしたかな)
松尾芭蕉
(はしだてや うみへしづるる まつのゆき)
西山泊雲
(そらふかく きえいるこずえや ゆきづきよ)
西山泊雲
(みとびらに ふともひのさす ぼせつかな)
日野草城
(まどのひや わがやうれしき よるのゆき)
永井荷風
(ふるゆきや たまのごとく らんぷふく)
飯田蛇笏
(ともしびを みればかぜあり よるのゆき)
大嶋寥太
(ゆきふると いいしばかりの ひとしずか)
室尾犀星
(かどまつや しずかにゆきの つもるおと)
梅澤墨水
(よるのゆき ささにこぼるる おとばかり)
蝶夢
(しんしんと ゆきつむよるの はりのおと)
長谷川素逝
(ひをけして しょうじにわかに ゆきあかり)
上村占魚
(かりなくや こまどにやみの ゆきあかり)
正岡子規
(こしかた ゆくすえ ゆきあかりする)
種田山頭火
(まつのゆき みるやかわやの ゆきもどり)
正岡子規
(ばんねんや はやしにつみし ゆきのこえ)
小林康治
(かごめかごめ かまくらにふる ゆきのこえ)
平畑静塔
(はなとなり しずくとなるや けさのゆき)
加賀千代女
(うすうすと なんてんあかし けさのゆき)
勝見二柳
(ゆきのあさ にのじにのじの げたのあと)
田 捨女
(ゆきふりて まことたのしき まどいかな)
星野立子
(ゆきのうえのつきや きんいろぎんせかい)
松永貞徳
(わがゆきと おもえばかろし かさのうえ)
室井其角
(せっぺんにふれ せっぺんの こわれけり)
夏井いつき
(せっぺんの つれたちてくる みそらかな)
高野素十
(とりのみち ばかりあるなり ゆきのやま)
成田蒼虬
(ごうごうと みゆきのそこの はたやかな)
皆吉爽雨
(まつしまはうすゆき ひらいずみはみゆき)
田村了咲
(よにとおく なみのおとする みゆきかな)
臼田亜浪
(とぎなおす かがみもきよし ゆきのはな)
松尾芭蕉
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雪の種類
・雪の種類別
粉雪(こなゆき)、
細雪(ささめゆき)、
小米雪(こごめゆき)、
白雪(しらゆき)、
餅雪(もちゆき)、
べと雪、水雪、
湿雪(しっせつ)、
ざらめ雪:
ザラメ糖のように、大粒の積雪のこと。
【俳句一覧】
(こなゆきの かがりびにふる かんもうで)
長谷川櫂
(かれえだに こくこくつもる こなゆきかな)
日野草城
(みゆきやむ ときの こなゆきに ほしうかぶ)
松村蒼石
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雪の状態
・雪の状態別
衾雪(ふすまゆき)…一面に降り積もった雪のこと。
新雪…あたらしく降り積もった雪のこと。
根雪(ねゆき)…解けないうちに雪がさらに降り積もって、雪解けの時期まで残る下積みの雪のこと。
積雪…降り積もった雪のこと。
冠雪(かんむりゆき)…かぶさるように降り積もった雪のこと。
雪庇(せっぴ)…山の稜線上の風下側に庇のように張り出した積雪のこと。
しまり雪…新雪の結晶が昇華により氷の粒になったり、また、降り積もった雪が重みで全体が締まった状態の積雪のこと。
凍雪…地上で固く凍った雪のこと。
(やまぶきや ねゆきのうえの ひだのみち)
前田普羅
(にゅきふみ しんせつにぬれ たびのまち)
及川 貞
(いてゆきの ゆうかげふみて あるきけり)
飯田蛇笏
(つもりたる ゆきに しんせつ ふりつづく)
山口波津女
(どうどうと せっぴのしたの みずじごく)
富安風生
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初雪
初雪…その年の冬に、はじめて降る雪のこと。
【俳句一覧】
(はつゆきや すいせんのはの たわむまで)
松尾芭蕉
(はつゆきの たちまちまつに つもりけり)
日野草城
(はつゆきは まつのしずくに のこりけり)
加賀千代女
(はつゆきの ながれてあおし あさひがわ)
正岡子規
雪待月
雪待月(ゆきまちづき)、
雪見月(ゆきみづき):
陰暦11月の異称。霜月のこと。
【俳句一覧】
(ゆきまちづき はやしはものの こえ とおる)
加藤秋邨
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雪だるま
雪だるま、
雪仏(ゆきぼとけ)、
雪布袋(ゆきほてい)、
雪獅子(ゆきじし)、
雪細工(ゆきざいく)、
【俳句一覧】
(うんけいが こどもあそびや ゆきぼとけ)
正岡子規
(せっかいを ふたつかさねし ゆきだるま)
右城暮石
(このしたに かくねむるらん ゆきぼとけ)
服部嵐雪
(つきさえて ふつかになりぬ ゆきぼとけ)
成田蒼虬
雪うさぎ
雪兎(うさぎ):
雪を楕円形状にこんもりと形作りかため、南天の赤い実を目に、南天の葉を耳にして、兎に見立てて遊ぶこと。
【俳句一覧】
(ゆきうさぎ いちやうさぎに なりすます)
宇多喜代子
(ゆきうさぎ きぬずれをよに のこしたる)
宇佐美魚目
(きらきらと こおっていたり ゆきうさぎ)
長谷川 櫂
雪景色
雪景色:
雪の降っている景色。雪が一面に降り積もった風景のこと。
【俳句一覧】
(ておひらに あつきひおけや ゆきげしき)
日野草城
(ほうじちゃの ねっしかんばし ゆきげしき)
日野草城
(おとをたえて かんりゅうのゆく ゆきげしき)
飯田蛇笏
(ゆきげしき だんだんふかく つぎのえき)
今井千鶴子
雪見
雪見、
雪見酒(ゆきみざけ)、
雪見障子(ゆきみしょうじ)、
雪見笠、雪見舟、
雪の友(ゆきのとも):
雪見をする人のこと。
【俳句一覧】
(はなはしろく はなはあからむ ゆきみかな)
北村季吟
(いざさらば ゆきみにころぶ ところまで)
松尾芭蕉
(もんをでて ゆきさきまどう ゆきみかな)
永井荷風
(ゆきみざけ なんのかんのと しあわせよ)
星野 椿
雪原
雪原(せつげん):
一面に雪が降り積もっている地域のこと。
雪の原、雪野原、
雪野、雪の野、
【俳句一覧】
(げっこうの せつげんをはう はぐれぐも)
岡田日郎
(ながながと かわひとずじや ゆきのはら)
野沢凡兆
(きしゃまったく せつげんにはいり ひとだまる)
西東三鬼
(ほししろく もえてせつげん なおくれず)
相馬遷子
(ひさびさに てる せつげんの あのきこのき)
佐野良太
(ゆきのの かなたをゆくは しるひとか)
高濱年尾
(ゆきのの いまゆうづるに なみうてる)
古館曹人
雪嶺
雪嶺(せつれい):
雪に覆われた山の峰のこと。
雪山、雪富士
【俳句一覧】
(せつれいの ひとたびくれて あらわるる)
森澄雄
(きしゃとまり とおきせつれい とまりたり)
山口誓子
(せつれいの ほしおのおのの ねいろあり)
舘野 豊
(せつれいに きしゃあらわれて ややひさし)
中村汀女
(ゆきやまを さむきところと あおぐばかり)
高柳重信
(そそりたつ せつれいに つきちかくあり)
上村占魚
雪晴
雪晴…雪がやんだあとの晴天のこと。
深雪晴(みゆきばれ)、
雪後の天(せつごのてん)
【俳句一覧】
(ゆきばれや ふんだんにある あおいそら)
松本夜詩夫
(ゆきばれや あまだれのおと みなちがう)
田村木国
(ゆきばれの ひざひまともに つくえかな)
五百木飄亭
(ゆきばれの ひの やわらかく あたたかく)
星野立子
雪焼
雪焼…晴天下の雪が積もった屋外にて、直射日光と積雪の反射光の紫外線を受けることにより、皮膚が焼けることをいう。
【俳句一覧】
(やまたより かせぐむらびと ゆきやけて)
大野林火
(ゆきやけや おんなえちごの やまのなか)
佐藤惚之助
(ははのどこかつかみて どれもゆきやけこ)
橋本多佳子
雪下ろし
雪下ろし(ゆきおろし):
屋根の上に積もった雪をかき落とすこと。
雪卸(ゆきおろし)、
雪掘(ゆきぼり)、
【俳句一覧】
(とびたつは ゆうやまどりか ゆきおろし)
加舎白雄
(ゆきおろし のとみゆるまで あがりけり)
前田普羅
(あおぞらに こえあらわれて ゆきおろす)
落合水尾
(ゆきおろす ひとにとおりし けむりかな)
高野素十
雪搔き(ゆきかき)
雪搔(ゆきかき):
積もった雪をかいてのけること。また、そのための道具。除雪。
雪を搔く、
雪を掃く、
雪鋤(ゆきすき)、
雪捨(ゆきすて)、
雪返し(ゆきがえし)、
雪箒(ゆきぼうき)、
【俳句一覧】
(ゆきがけをみて ゆきをかく ゆきあかり)
小原啄葉
(ゆきかいて きぎくのはなの あらわるる)
高野素十
(ゆきかくおと さくさくとまた ねぎきるおと)
古沢太穂
しづり雪
垂り雪(しずりゆき):
木や竹の枝葉に積もった雪がずり落ちること。
【俳句一覧】
(ねておきぬ とをこそあやつる しづりゆき)
永井荷風
(ゆきしづり はらはらとわが ゆうひきゆ)
福島小蕾
(ねておきぬ とをこそくるや しづりゆき)
永井荷風
雪折(ゆきおれ)
雪折(ゆきおれ):
樹木や竹が降り積もった雪の重さに耐えかねて折れること。
【俳句一覧】
(ゆきおれも きこえてくらき よるなるかな)
与謝蕪村
(ゆきおれの たけもうもれし みゆきかな)
鈴木花蓑
(ゆきおれの おとおそろしき よるのせいじゃく)
高木朱星
(おにわまつ ゆきおれしたる ゆきみかな)
鈴木花蓑
雪吊り(ゆきつり)
雪吊り(ゆきつり):
雪折れを防ぐために、庭木などの枝を細い縄などで添木や木の幹からつり上げておくこと。
【俳句一覧】
(ゆきつりの まつをまんなかに にわひろし)
高浜虚子
(ゆきつりの なわのかにつく ゆうあかり)
飯田龍太
(だいかんの ほしにゆきつり ひかりけり)
久保田万太郎
雪催(ゆきもよい)
雪催(ゆきよもい):
底冷えして、いまにも雪が降り出しそうな空模様のこと。
雪雲
【俳句一覧】
(あくそうの さかなはおいし ゆきもよい)
鈴木真砂女
(ゆきもよい たうたうゆきに なってひとり)
種田山頭火
(とうとうの うつくしきゆえ ゆきもよい)
後藤夜半
(ゆがえりや ひともしころの ゆきもよい)
永井荷風
雪雲
雪雲(ゆきぐも)
:雪を降らせる雲のこと。雪を含んでいる雲。
【俳句一覧】
(ゆきぐもに いろをかえつつ にほんかい)
稲畑汀子
(ゆきぐもや なみにもまれて おきのしま)
鈴木真砂女
雪しまき
雪しまき…吹雪が激しく吹き巻くこと。
しまき雲…雪しまきを起こす雲のこと。
雪風(ゆきかぜ)、
吹雪、
風雪(ふうせつ)、
雪煙(ゆきけむり)、
雪浪(ゆきなみ)、
【俳句一覧】
(うみにひの おちてはなやぐ しまきぐも)
角川源義
(ゆきしまき みなとのけいを うばいけり)
五十嵐播
(ゆきしまき しまきかれはを まいたたせ)
清崎敏郎
(じふぶきの かおもてつどう なかまかな)
成田千空
(がんじつは おおふぶきとや いさぎよし)
高野素十
(げつめいや のりくらだけに ゆきけむり)
石橋辰之助
(ふうせつに かざりまどあり しずかなひ)
日野草城
(とどまつは ふうせつにたえ めをはなと)
山口青邨
雪時雨
『時雨』も冬の季語ですが、『雪時雨』は、時雨が雪に変わる、あるいは、雪を交えるような状態になった時雨のことをいいます。
雪時雨(ゆきしぐれ):
時雨が雪まじりになること。みぞれ。
【俳句一覧】
(あかまつに なんのとりなく ゆきしぐれ)
日美清史
(ふるまちの みつめのかど ゆきしぐれ)
日下部宵三
(ひじはって かにゆでらるる ゆきしぐれ)
鈴木真砂女
小林一茶『雪』の俳句
最後に、小林一茶の『雪』の俳句をあつめて、7選ご紹介します!
小林一茶の雪の世界、堪能してみてくださいね。
(うまそうな ゆきがふうわり ふわりかな)
小林一茶
(ゆきとけて むらいっぱいの こどもかな)
小林一茶
(これがまあ ついのすみかか ゆきごしゃく)
小林一茶
(よるのゆき だまってとおる ひともあり)
小林一茶
(しょうべんじょの あぶらひにちる こなゆきや)
小林一茶
(はつゆきや いでゆのけむりも はなのさき)
小林一茶
(おんひざに すずめなくなり ゆきぼとけ)
小林一茶
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まとめ
今回は、雪のつく【冬の季語】と俳句をご紹介させていただきました。
雪がつく季語も、実に多くあります。
雪そのものをあらわす言葉もあれば、雪にまつわる暮らしや状況をあらわす言葉も。
俳句は、有名な俳句をはじめ、いろいろご紹介させていただきましたが、俳句の雪の世界も奥深いですね!表現の参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
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