擬音語(オノマトペ)で雨を表現すれば、雨の音も雨量も勢いも言葉になる!

ことばの表現

『雨がザーザーと降り続ける』

『雨がしとしとと降り続ける』

おなじ雨が降っている様子を伝えているのに、雨の強さや降る量、雨音や湿度まで、まったく違うものをイメージしませんか?

なぜでしょうか?

それは【ザーザー】や【しとしと】という言葉によるもの。

 

これらの言葉をオノマトペといいます。このような言葉があるだけで、一気に細かな情景を思い描くことができて、臨場感をあじわえます。

 

今回はこのオノマトペで雨を表現する言葉をあつめました。よかったら参考にしてくださいね!

 

オノマトペとは?

オノマトペとは、さまざまな音や動物の鳴き声、人の気持ちやものごとの様子をあらわす言葉です。

たとえば、ドアをたたく音コンコンや、猫の鳴き声『にゃー!』、あたたかな陽気をあらわすぽかぽかなどです。

あなたもいつもの会話の中で、いろんなオノマトペを使っていませんか?

 

このオノマトペには、つぎの2つの種類があります。

『擬音語』『擬態語』

 

『擬音語(ぎおんご)』とは、さまざまな音や動物の鳴き声などをあらわしたオノマトペ。先ほどの例でいえば、ドアをたたく『コンコン』や猫の鳴き声『にゃー!』などです。

 

一方『擬態語(ぎたいご)』とは、ものごとの様子や人の気持ちをあらわすオノマトペで、先ほどの例でいえば、あたたかな陽気の『ぽかぽか』などの言葉です。

 

人の気持ちをあらわす言葉では、怒ったときの『がみがみ』や喜びや期待でいっぱいの『ウキウキ』、心配や後悔したときの『くよくよ』などがあります。

 

今回は【雨の表現】なので、オノマトペは『擬音語』になります。

 

オノマトペの魅力は、なんといっても表現が生き生きとしてくるところ!臨場感たっぷりで想像力をかきたてるような効果があります。

それでは、さまざまな雨をオノマトペで表現して感じてみましょう!

 

※あわせて読みたい記事♪
こちらの記事では『擬態語』について解説しています!

>>感情を言葉で表現してみよう!感情別【オノマトペ(擬態語)】一覧

 

雨をことばで表現する

雨の降り方や状況別に雨を表現する言葉、オノマトペ(擬音語)をまとめました。

雨の降り始め

こちらでは、雨が降り始めたときのオノマトペ(擬音語)をまとめました。

《雨粒が小さいとき》

  • ぽつぽつ
  • ぽつっぽつっ
  • ぽつりぽつり
  • ぽつんぽつん
  • ぱらりぱらり
  • ぱらぱら
  • ばらばら

【ぽつぽつ】【ぽつっぽつっ】
【ぽつりぽつり】【ぽつんぽつん】
は、ほんとうに雨の降り始め、まばらに雨粒が空から落ちてくるようすがうかがえます。

【ぱらりぱらり】【ぱらぱら】【ばらばら】と降り方も次第に強まっていきます。

 

《雨粒が大きいとき》

  • ぽとぽと
  • ぽとりぽとり
  • ぼてっぼてっ
  • ぼてぼて
  • びしょびしょ

【びしょびしょ】も雨が降り出したときにも使う言葉です。『大粒の雨が絶え間なく降り続くようなさま』をあらわしています。

たとえば、『昼少し下がる頃に雨となり、びしょびしょと降り出してきた』のようにつかいます。(日本語オノマトペ辞典より)

《雨が急に降り出すとき》

  • さーっ
  • ザーッ
  • わーっ
  • バーっ

 

※あわせて読みたい記事
突然降り出す雨の違いについての記事です。

>>『にわか雨』と『通り雨』の違いとは?別名や類語、雨の季語もご紹介!

細かい雨や長雨、湿った空気

小雨や霧雨、長く雨が降り続いて湿った空気がただようような状況のときのオノマトペ(擬音語)です。

《不快感が低いとき》

  • しとしと
  • しっとり
  • しとっ
  • しめじめ
  • しょぼしょぼ
  • しぽしぽ
  • しぼしぼ
  • ぴしょぴしょ
  • しおしお

【しぽしぽ】、【しぼしぼ】はあまりなじみがない表現かもしれませんが、
どちらも『雨・露・涙などにぬれるさま』をあらわすときの擬音語です。

たとえば、『しぼしぼ村に雨が降ってきた』などの使い方をします。

 

【ぴしょぴしょ】は『雨が軽い音をたてながら、たえまなく降り続けるさま』をあらわします。


たとえば、『その日は雨がぴしょぴしょ降り続けていた』となります。(日本語オノマトペ辞典より)

 

【しおしお】は『それと知れない程度にかすかに降る雨』のことをいいます。これは、愛知県設楽地方の言葉です。

たとえば、『雨はしおしおと、煙るように静かに降り続ける』となります。

 

ちなみに【しおしお】とは、『元気のないようす』もあらわす言葉です。(雨のことば辞典より)

《不快感が高いとき》

  • じとじと
  • じとっ
  • じっとり
  • じめじめ
  • じくじく
  • じみじみ
  • びちょりびちょり
  • びちょびちょ

【じみじみ】はあまりなじみがない表現かもしれませんが、『湿り気のあるさま』をあらわす擬音語です。

たとえば、『じみじみと肌にしみ込むような霧』などの表現になります。

 

ちなみにこの【じみじみ】という言葉、
『物事が次第に消失していくさま』もあらわします。この場合は【じわじわ】と同じような表現になります。

 

【びちょびちょ】【びちょりびちょり】はどちらも『雨が絶え間なく降り続ける音』をいいます。(日本語オノマトペ辞典より)

 

 

激しく降る雨

  • ざあざあ
  • ザーザー
  • ざんざん
  • どしゃどしゃ
  • ジャージャー
  • びちょびちょ
  • びちょりびちょり
  • ざんざざんざ
  • ざんざら
  • ざぶんざぶん

【ざんざざんざ】は、『水音がしきりに激しく響くさま』をあらわす言葉です。

【ざんざら】は『雨や風などが激しく吹き付ける騒がしい音』です。

【ざぶんざぶん】は『多量の水が続けて勢いよく動く音』をあらわしています。
(日本語オノマトペ辞典より)

 

ふだん、耳慣れないオノマトペ(言葉)を選ぶと、面白い表現ができそうですね^^

 

おまけで、一茶の俳句をご紹介。

激しい風とともに雨が降る様子をあらわしています。

ざぶりざぶりざぶり 雨降る 枯野かな
小林一茶

※こちらもおすすめ!

風の音をオノマトペで表現!風を表現するオノマトペや言葉、類語・連想語などをご紹介しています!
>>風を言葉で表現する方法♪類語・連想語、オノマトペ(擬音語)をご紹介します!

 

雨だれがおちる音

軒下や傘から雨のしずくが落ちる様子をあらわした言葉です。

  • ぽたぽた
  • ぼたぼた
  • ぽつり
  • ぽつりぽつり
  • ぽとんぽとん
  • ダラダラ
  • ばらばら

 

水が跳ねるような音

水たまりなどで、水が飛び跳ねる音などをあらわす言葉です。

  • ぴちゃ
  • びちゃ
  • ぴちゃぴちゃ
  • びちゃびちゃ
  • ぴちぴち
  • びちょりびちょり
  • ちゃっぷちゃっぷ
  • ちゃぽん
  • ちゃぽちゃぽ
  • ちゃぷりちゃぷり
  • ぴちゃり
  • ぴちゃん

【びちょりびちょり】は
『水たまりを踏んで歩くときに出るくぐもった音』のこと。

この【びちょりびちょり】は
『雨が絶え間なく降り続ける音』を表現することもあります。

 

【ちゃぷりちゃぷり】は『水が大きくゆれ動いてはねる際に明るく響く音』をあらわしています。

 

【ぴちゃり】【ぴちゃん】はどちらも
『水などが小さな音をたてて軽く跳ね上がるさま』をあらわしています。
(日本語オノマトペ辞典より)

 

こちらもどうぞ♪
童謡『あめふり』
で、水がはねる様子のことばと歌で楽しんでみてくださいね^^

雨に濡れたとき

こちらでは、雨に濡れたときの様子をあらわす言葉をまとめました。

  • ぐっしょり
  • びしょびしょ
  • べしょべしょ
  • べちょべちょ
  • べちゃべちゃ
  • びちゃびちゃ
  • じっとり
  • びっとり
  • びっちょり
  • べったり
  • べっちゃり
  • じとじと

 

似たような表現がたくさんありますが、意味をよみとくと、濡れ具合や不快感はつぎのような段階で変化(悪化)するようです。

【べしょべしょ】⇒【びしょびしょ】⇒【べちょべちょ】⇒【びちゃびちゃ】

 

これ以外の言葉で【べちゃべちゃ】がありますが、【べちゃべちゃ】はかなり不快感が高い表現になります。濡れているだけではなく、汚れているさまも含まれる言葉です。
(日本語オノマトペ辞典より)

 

※こちらの記事もおすすめ!
春夏秋冬、それぞれの季節の『雨の季語』をあつめた記事です♪

>>【雨の季語】春編
>>【雨の季語】夏編
>>【雨の季語】秋編
>>【雨の季語】冬編

 

雨の詩をよむ

さいごに雨の詩をご紹介します。

雨をオノマトペで存分にあじわえる詩です。ぜひ読んで堪能してみてくださいね^^

『あめ』山田今次

あめ あめ あめ あめ
あめ あめ あめ あめ
あめはぼくらを ざんざか たたく
ざんざか ざんざか
ざんざか ざかざかあめは ざんざん ざかざか ざかざか
ほったてごやを ねらって たたく
ぼくらの くらしを びしびし たたくざびが ざりざり はげてる やねを
やすむことなく しきりに たたくふる ふる ふる ふる
ふる ふる ふる ふるあめは ざんざん ざかざん ざかざん
ざかざん ざかざん
ざんざん ざかざかつぎから つぎへと ざかざか ざかざか
みみにも むねにも しみこむ ほどに
ぼくらの くらしを かこんで たたく
山田今次「擬声語(オノマトペ)の詩」論文より引用
※山田今次(やまだ いまじ)1912年~1998年 横浜生まれ。昭和期の詩人。京浜の労働者として働きながら、『新日本文学会』に参画、詩作を行い活躍した。

 

まとめ

雨を表現することば、オノマトペ(擬音語)をあつめて紹介させていただきました。

日本語の表現力って本当に豊かですね!雨音も雨の量も、雨の降る勢いも選ぶ言葉でまったく違うものになります。

あまり使わないことば(オノマトペ・擬音語)もあったと思います。

ことばの表現を広げるひとつの材料になれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

※こちらもおすすめ※

雪の季語や雪にまつわる言葉をあつめた記事です。
>>【冬の季語】雪のつく言葉や雪にまつわる言葉、表現をまとめました♪

コメント

タイトルとURLをコピーしました