日本人はことのほか『桜』を愛でてきました。
『お花見』の歴史はほんとうに古く、さかのぼること奈良時代といわれています。しかし、その頃はまだ、梅の花が主役だったようです。
本格的に桜の『お花見』がおこなわれるようになったのは、平安時代ですが、その時はまだ、貴族の間だけでおこなわれる、ある意味贅沢な行事でした。
現在では、誰もが楽しむ『お花見』。
日本各地のソメイヨシノの開花予報日をつないだ『桜前線』などもあり、これほどまでに皆が注目するお花はありません。
今回は【春の季語】のなかでも、
『桜』と『お花見』にまつわる季語をあつめました!
ぜひ、参考にしてくださいね^^
春の季語
【春の季語】のなかでも、
『お花見』にまつわる季語と、
『桜』にまつわる季語 にわけてご紹介します。
『お花見』にまつわる季語
『お花見』にまつわる【春の季語】をあつめました。
季語 | 読みかた | 意味 |
お花見 | おはなみ | 桜の花を鑑賞すること。この風習はかなり古くからあり、平安時代にはもっぱら貴族の行楽とされていた。江戸時代になり、武士の花見もますます盛んになり、これにならうように商人なども花見をおこなうようになっていった。 |
花篝 | はなかがり | 夜桜を鑑賞するために焚くかがり火のこと。京都祇園のものが有名。 |
花床几 | はなしょうぎ | 花見をするときに使う床几のこと。 |
花疲 | はなづかれ | 花見で疲れること、花見に出かけたあとの疲れのこと。 |
花の宴 | はなのうたげ | 桜の花を見ながら催す酒盛りのこと。 |
花の踊 | はなのおどり | 桜の花の下で踊ること。 |
花の客 | はなのきゃく | 花を見る人、花見客のこと。 |
花の酒 | はなのさけ | 花見酒のこと。 |
花の茶屋 | はなのちゃや | 花見のときの休憩所のような場所、茶店のこと。 |
花の幕 | はなのまく | 花見の時に張り巡らす幕のこと。 |
花の都 | はなのみやこ | 桜の花が咲き乱れている都のこと。 |
花の酔 | はなのよい | 花見の宴会で酔うこと。 |
花人 | はなびと | 桜の花を見る人のこと。 |
花雪洞 | はなぼんぼり | 花の下に、そこここに設けられたかがり火のことをいう。 |
花見扇 | はなみおうぎ | 花見をおこなうときに使う扇のこと。 |
花見笠 | はなみがさ | 花見をおこなうときの笠のこと。笠とは、頭にかぶり、雨や雪、日光などを防ぐもので、今でいうと帽子に近い役割。『すげ笠』などともいう。 |
花見客 | はなみきゃく | お花見に来た人のこと。花見のために桜の名所に訪れた人のこと。 |
花見酒 | ははみざけ | 花見をしながら飲むお酒のこと。 |
花見衆 | はなみしゅう | 花見を見る群衆のこと。 |
花見樽 | はなみだる | 花見酒の入った樽。お酒を運ぶための道具。室町時代以前から使われていたといわれている。 |
花見手拭 | はなみてぬぐい | 花見をするときに使う手拭のこと。 |
花見舟 | はなみぶね | 花見をしながら乗る舟のこと。 |
花見戻 | はなみもどり | 花見にでかけた帰り。また、その人のこと。 花戻ともいう。 |
花筵 | はなむしろ | 花見の宴席に敷く筵のこと。花ござともいう。 |
花巡り | はなめぐり | いろいろな所へ花見にいくこと。 |
朝桜 | あさざくら | 朝に露を受けて咲いている桜のこと。 |
行事
お花見時の行事の【春の季語】(ことば)をあつめました。
季語 | 読みかた | 意味 |
鞍馬の花供養 | くらまのはなくよう | 京都の鞍馬寺で桜の咲くころ、15日間にわたって開催される行事。開闢・中日・結願の法要が営まれ、本尊に花や茶を献じ、舞楽を奉納する。また、鞍馬に咲く桜を総称して雲珠(うず)桜といい、こちらも春の季語。 |
鎮花祭 | ちんかさい | 四月十八日、奈良県桜井市の大神神社と摂社の狭井神社で行われる祭礼のこと。桜の花の散る頃、疫病神が起こす流行病を鎮めるための祭礼。701年「大宝令」に国家の行事として定められて以来、1300年間にわたり、古儀にのっとり国民の無病息災を祈願する。 |
花換祭 | はなかえまつり | 福井県敦賀市の金崎宮で、四月の花時に行われる祭のこと。祭神の尊良 親王と恒良親王の御命日の頃、花を捧げたのが始まり。造花の花が社前で売られ、参詣人がその花を交換しあう。当り花を手にした人に神鏡が贈られる、美しい春の祭。 |
安良居祭 | やすらいまつり | 京都市 今宮神社で行われる疫病神を鎮める祭礼のこと。 |
吉原の夜桜 | よしわらよざくら | 遊郭吉原の夜桜見物のこと。 |
※あわせて読みたい記事♪
こちらの記事もおすすめ!それぞれの『春の季語』をあつめてご紹介しています。
『桜』にまつわる季語
こちらでは、『桜』にまつわる【春の季語】をあつめました。
『桜』がつく言葉もあれば、
つかなくても『桜』を示すものもあります。
つぎの3つのカテゴリーにわけました。
ぜひ参考にしてくださいね^^
- 『桜』にかんする季語
- 桜の種類や品種
- 散る桜
『桜』にかんする季語
こちらでは、『桜』にまつわる【春の季語】をあつめました。
『桜』という言葉がつく季語もあれば、
つかない季語もあります。
季語 | 読みかた | 意味 |
朝桜 | あさざくら | 朝、露をうけて咲いている桜のこと。 |
家桜 | いえざくら | 人家の庭に植えてある桜のこと。 |
姥桜 | うばざくら | 葉より先に花が咲く桜の通称。また、盛りが過ぎて、なおなまめかしさが残っている夫人こと。 |
遅桜 | おそざくら | 遅咲きの桜のことすべてをいう。 |
桜貝 | さくらがい | 浅い海にすむ3㎝ほどの二枚貝のこと。色や形がまるで桜の花びらのようで、非常に薄くて繊細。殻の表面は真珠のようなツヤがある。砂浜にもよく打ち上げられている。 |
桜狩 | さくらがり | 山野に桜の花をもとめて遊び歩くこと。山野での花見。 |
桜月夜 | さくらづきよ | 桜の咲くころの月夜のこと。 |
桜漬 | さくらづけ | 桜の花を塩漬けにしたもの。 |
桜戸 | さくらど | 戸の近くにある桜が咲いたこと。あるいは桜のあるほとりの宿のこと。 |
桜の園 | さくらのその | 桜がたくさん植えられている庭園のこと。 |
桜人 | さくらびと | 桜の花を眺める人、愛でる人のこと。 |
桜まじ | さくらまじ | 桜の花の咲くころ、南からそよそよと吹いてくるあたたかい風のこと。 |
桜餅 | さくらもち | 塩漬けの桜の葉でつつんだ餡入りの和菓子のこと。 |
桜守 | さくらもり | 咲いた桜の枝を折られないように守る人のこと。花守ともいう。 |
桜湯 | さくらゆ | 塩漬けの桜の花に湯をそそいだ飲みもの。 |
初桜 | はつざくら | その年にはじめて咲いた桜のこと。初花ともいう。 |
初花 | はつはな | その年初めて咲いた桜の花のこと。 |
花曇り | はなぐもり | 桜の花が咲くころは曇りがちの天気が続くことがありますが、そのような曇り空のことをいう。 |
花時 | はなどき | 4月ころ、桜をはじめさまざまな花が咲きはじめる頃のこと。別名:桜時、花の頃 |
花の主 | はなのぬし | 花の咲いている木の持ち主。 |
花冷え | はなびえ | 桜の花の咲くころ、天気が不安定になり急に寒くなることをいう。 |
夕桜 | ゆざくら | 夕に眺める桜。夕闇に咲いている桜のこと。 |
夜桜 | よざくら | 夜にみる桜の花。また、夜の花見のこと。 |
若桜 | わかざくら | 若木の桜のこと。 |
桜の種類や品種
こちらでは、桜の種類や品種にかんする
【春の季語】を一覧にまとめました。
季語 | 読みかた | 意味 |
糸桜 | いとざくら | 枝垂れ桜の別称。 |
犬桜 | いぬざくら | 山野に自生し、白い小花を密につける。 |
雲珠桜 | うずざくら | 京都の鞍馬山に咲く桜の総称のこと。 |
姥彼岸 | うばひがん | 山地に自生し、3月ころ、葉よりさきに淡紅色の花を群生する。 別名:江戸彼岸、東彼岸(アズマヒガン) |
上溝桜 | うわみずざくら | 普通の桜と違い、まるでブラシのような房状の白い小花をつける。豆粒大の赤い実もなる。 別名:金剛桜、ははか(新嘗祭につかわれる木のこと) |
大島桜 | おおしまざくら | 日本の固有種で、葉は桜餅につかわれる。 |
大山桜 | おおやまざくら | 北海道など雪国に多く、野生品種。ヤマザクラより大きいことからこのような名前に。別名:エゾヤマザクラ |
左近の桜 | さこんのさくら | 京都御所にある桜のこと。 |
里桜 | さとざくら | 八重咲の桜。大島桜を基に改良されて誕生したといわれている。 別名:牡丹桜ともいう。 |
しおり桜 | しおりざくら | 桜の一種のこと。 |
枝垂桜 | しだれざくら | 枝が垂れ下がり、花の小さな桜の総称。 別名:しだり桜、枝垂彼岸ともいう。 |
秋色桜 | しゅうしざくら | 上野公園清水堂のそばにある枝垂れ桜のこと。 |
染井吉野 | そめいよしの | 桜前線の基準にもなっている桜の品種。3~4個の花が集まるように枝に花を咲かせるのが特徴。別名:吉野桜 |
丁子桜 | ちょうじざくら | 中部地方から西の方面に自生す野生種の一種。まるで丁子(クローブ)のようなユニークな花の形から、このような名称になったといわれる。 |
南殿 | なでん | 桜の一種で、別名:茶碗桜(チャワンザクラ)ともいう。 |
庭桜 | にわざくら | 庭梅の変種。白い花で八重咲。古名を「はねず」といい、万葉集でも詠まれている。 |
彼岸桜 | ひがんざくら | 春の彼岸の頃、葉より先に淡紅色の花を開く。中部地方以西の庭などに植えられている。別名:立彼岸(タチヒガン) |
紅枝垂 | べにしだれ | 花は小輪で、一重咲の紅色。3月下旬頃に開花する。 |
豆桜 | まめざくら | 野生種のひとつ。本州中部地方に自生する。別名:富士桜 |
八重桜 | やえざくら | 八重咲の桜のこと、ぽってりとした花房は艶やかさがある。花期は遅め。 |
嶺桜 | みねざくら | 本州中部以北の高山に自生する桜のこと。 別名:高嶺桜(タカミネザクラ)ともいう。 |
深山桜 | みやまざくら | 深山に咲く桜で、5~6月頃に開花する。別名:シロザクラ |
山桜 | やまざくら | 山地に自生する桜のこと。 |
散る桜
桜が散っていく様子は、さみしさが漂いますが、その情景は独特の美しさがあります。
桜は、地面に散った花びらさえもうつくしいですね。
こちらでは、『散る桜』をあらわした
【春の季語】をご紹介します。
季語 | 読みかた | 意味 |
桜吹雪 | さくらふぶき | まるで吹雪のように桜の花びらが一斉に舞い散ることをいう。 |
残花 | ざんか | 散り残る桜のこと。 |
散る花 | ちるはな | 桜の花の盛りが過ぎて散ることをいう。 |
花筏 | はないかだ | 桜の花びらが散って、水面にかたまりとなって、優雅に流れるさまをいう。 流れる様子を筏に見立てた言葉。 |
花屑 | はなくず | 咲き終わった花びらが地面に落ちていることで、その様子を屑に見立てた言葉。 |
花の塵 | はなのちり | 散った桜の花を塵にみたてたことば。 |
花散る | はなちる | 桜の花が盛りを過ぎて散ることをいう。 |
花吹雪 | はなふぶき | 花びらが、あたかも雪がふぶいているがごとく舞い散るさまのことをいう。 |
落花 | らっか | 桜の花が盛りを過ぎて、散ることをいう。 |
『桜』にまつわる季語【夏・冬】
『桜』とついていても、春だけではなく、
実は夏や冬の季語もあります。こちらではそのような言葉をあつめました。
春の気配を感じさせる冬や、まるで初夏のような感じなど、『桜』の季語もさまざまです。
季語 | 読みかた | 意味 |
寒桜 | かんざくら | 2月頃、葉が出る前に淡紅色の5弁花が咲く。【冬】 |
葉桜 | はざくら | 花が散って若葉のみになった桜のこと。【夏】 |
冬桜 | ふゆざくら | 冬に咲く早咲きの桜のこと。【冬】 |
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まとめ
今回は、『お花見』と『桜』にかんする
【春の季語】をご紹介させていただきました。
日本人にとって『桜』は特別なお花です。
一斉に咲きみだれ、一気に散るさまは、圧巻です。その特別にも感じる時間は、儚くもあり、人の心にうったえかけるものがあります。
そのようなことからか、『お花見』と『桜』にかんする【春の季語】はほんとうに数多くあります。
ことばを選びながら、ぜひ、日本の歴史と春を感じてみてくださいね^^
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
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