『冬のことば』というと、あなたはどんな言葉が思い浮かべますか?
冬をあらわす言葉には、
『冬牡丹』『氷柱』や『除夜の鐘』など冬らしい言葉もあれば、
野菜の『葱』や『春近し』など、一見冬とは関係ないような言葉もあります。
そして、これらはすべて【冬の季語】。
今回は、この【冬の季語】を使った俳句・120選をご紹介します!
【冬の季語】と俳句一覧
【冬の季語】を使用した俳句を、カテゴリごとにわけてご紹介します。
有名な俳句から、素敵だな、ユニークだななど感じた俳句まで、一覧にまとめてご紹介します!
『冬』をあらわす言葉
こちらでは、冬をあらわす言葉(季語)を使った俳句をあつめています。
(ふでちびて かすれし ふゆのにっきかな)
正岡子規
(あたたかに とうじのよいを こがいもの)
星野立子
(そうはつの ろくじはくらし とうじかな)
稲畑汀子
(いっもんの みきのさえぎる ふゆびなり)
長谷川素逝
(ふゆぞらは いちもつもなし やつがたけ)
森澄雄
(きをたおす おとしずまりし ふゆのやま)
星野立子
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(こがらしや めざしにのこる うみのいろ)
芥川龍之介
※目刺しとは…塩をふったイワシなどの小魚を、目に竹串などを刺して数匹ずつ連ねて、天日干しした食べ物のこと。
(はっぽうに やまのしかかる かれのかな)
松本たかし
(たんじつや くれいそがしき だいどころ)
堤 芹村
(ふゆのたも あそべり とりと いぬをいれ)
鷹羽狩行
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(なみのはな おともろともに まいあがる)
荒舩青嶺
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雨・雪・みぞれ・氷
こちらでは、雨や雪、みぞれや氷などにまつわる季語の俳句をご紹介しています。
(にほんに ちゃくりくしたる ふゆのあめ)
稲畑汀子
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(いかめしき おとや あられの ひのきがさ)
松尾芭蕉
※桧笠とは…ヒノキを薄くはいで、交差させながら編んだ網代の笠のこと。
(うまさうな ゆきが ふうわり ふうわりと)
小林一茶
(これがまあ ついのすみかか ゆきごしゃく)
小林一茶
(かぜのこに やねのゆきみえ すずめみえ)
細見綾子
(ちらちらと はつゆきふりぬ なみのうえ)
正岡子規
(いくたびも ゆきのふかさを たずねけり)
正岡子規
(ろにちかき まどあり ゆきのやまみゆる)
佐藤紅緑
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(さみしさの そこぬけてふる みぞれかな)
内藤丈草
(ひょうじょうの ぼしょくひしめく かぜのなか)
廣瀬直人
(みほとけの みはなのさきへ つららかな)
小林一茶
(とにいぬの ねかえるおとや ふゆごもり)
与謝蕪村
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年の暮れ
こちらでは、一年の終わり、年の暮れにかんする季語を使った俳句をあつめています。
(おおぞらの あくなくはれし しわすかな)
久保田万太郎
(ごくづきのそら あおあおと おうものなし)
金子咲子
(としくれぬ かさきてわらじ はきながら)
松尾芭蕉
(はなやかに ゆきふりだしぬ としわすれ)
藤本 量
(ゆくとしや ほのとびとびの やまのむら)
有働 亨
(せきせつに つきさしわたる としのよる)
飯田蛇笏
(ふさわしき おおどしという ことばあり)
高浜虚子
※大年…『おおとし』とも読み、大晦日のことをいう。
(じょやのかね いくたにこゆる ゆきのやみ)
飯田蛇笏
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あたらしい年
一年のはじまり、新年にかんする季語を使った俳句をご紹介します。
(しんねんの やまみてあれど ゆきばかり)
室生犀星
(めでただも ちうくらいなり おらがはる)
小林一茶
※おらが春…新年のことで、『わたしの新年』という意味。
(がんじつや はれてすずめの ものがたり)
服部嵐雪
(はつゆめを はなしているまに わすれけり)
星野立子
(しょうしょうがつ ろぼうのいしも まつらるる)
鍵和田釉子
(おおなみに おどりあらわれ はつひので)
高浜虚子
(はつそらも はやはんじつや やぶさわぐ)
但馬美作
(はつふじを まどいっぱいに おがみける)
白井冬青
(もんをでて ほしのたかさや はつもうで)
池上浩山人
(たてかけて あたりものなき はまやかな)
高浜虚子
※破魔矢…お正月の初詣での際に授与される縁起を祝うための矢のこと。厄除けの弓のこと。
(ひさしより たれたるまつの はつすずめ)
富安風生
(ばらばらに とんでむこうへ はつがらす)
高野素十
(はつどりの こえをとおくに ひをつかう)
柿本多映
(とそによい みみあかきこと あそびけり)
高田風人子
※屠蘇…屠蘇散を浸した酒のことで、邪気を払い、延命長寿などを祝って飲むお酒のこと。屠蘇散とは、山椒などの薬用植物を調合した漢方薬のこと。
(ははのこえして ぞうにぜん いできたり)
江口喜一
(ぞうきんの ほしどころなり かどのまつ)
小林一茶
(はなやぎて けむれるしめや かまどがみ)
飯田蛇笏
(かがみもち くらきところに われてざす)
西東三鬼
(みちのくの ゆきなきとしの まつおさめ)
鈴木喜久
(うらじろに ゆうひしばらく ありにけり)
草間時彦
※裏白…新年の飾りに用いる植物のことで、ウラジロ科常緑多年生のシダ。
(としだまを ならべておくや まくらもと)
正岡子規
(くさのとに がじょうちらほら めでたさよ)
高浜虚子
(ひとなみに きゆるかきぞめ すなはまに)
西東三鬼
(さかひとつ のぼりてゆきし はつにかな)
長谷川春草
(かるたきる こころはずみて とびしふだ
高橋淡路女
(すごろくの またふりだしへ もどるちち)
鷹羽狩行
※双六…サイコロを振って、出た目にしたがい、升目の駒をすすめて、上がりに近づける室内での盤上遊戯(ボードゲーム)
(どこやらで とおくのほうで はねのおと)
池内たけし
(てまりつく かみふさふさと うごきけり)
山口波津女
(たおれんと こまのへらへら わらいだす)
中川指月
寒さ・冷たさ
こちらでは、冬の寒さや冷たさを表現する季語を使った俳句をご紹介します。
(さむきよや おれまがりたる ほくとせい)
村上鬼城
(みずまくら がばりとさむい うみがある)
西東三鬼
(おおぞらに つきぶらさがり くもいてぬ)
池上浩山人
(ひにあたる いしにさわれば つめたさよ)
正岡子規
(ひのさゆる つくえのうえの やはんかな)
坂本四方太
(かんげつや くいつきそうな おにがわら)
小林一茶
(かんぷうの ぶつかりあいて うみにいづ)
山口誓子
(きたかぜに ことばうばわれ むぎふめり)
加藤楸邨
(しもをける はたけのさえや くわのおと)
炭太祇
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冬の行事や遊び
冬の行事や遊びにまつわる季語を使った俳句をご紹介します。
(ながさきに ゆきめずらしや くりすます)
富安風生
(ひとなみに たかくただよう くまでかな)
島田青峰
(せつぶんの なにげなき ゆきふりにけり)
久保田万太郎
(みちばたの ゆきのふせやの おにやらい)
高浜虚子
※鬼やらひ…節分の鬼打ち、豆まきのこと。豆をまいて厄を追い払う行事。追儺に同じ。
※伏屋(ふせや)…屋根の低い小さい家、みずぼらしい家のこと。
(もどかしく いしばしをのぼるも しちごさん)
高澤良一
(すきーくつ ぬがずに おそき ちゅうしょくとる)
橋本多佳子
(すけーとの ひもむすぶあいだも はやりつつ)
山口誓子
冬のあたたか
冬に感じるあたたかさについて表現している季語をつかった俳句をご紹介します。
(こはるびや とおくでんしゃの みえてきし)
高田風人子
(はるさめと おもうひもあり かえりばな)
大島蓼太
(ふゆうらら そらよりおりて かもめどり)
三好達治
(いえひとつ うめにつばきに ふゆびより)
小林一茶
(ふゆばれひの かまくらの おおどおり)
上野 泰
(すなはまや ふねのそこほす こはるなぎ)
正岡子規
暮らし
冬の暮らしにまつわる季語の俳句をご紹介します。
(しょうせつもへた すみをつぐこともへた)
久保田万太郎
(かいものかご ねぎがつきでて みえにけり)
吉屋信子
(おおなべに にくづれあまき かぶらかな)
河東碧梧桐
(ほととぎす なくや つぼねの ぎんびょうぶ)
正岡子規
(かざおとの びょうぶのうちに きこえけり)
高浜虚子
(たきびには つかず はなれずして あそぶ)
後藤夜半
(たけうまや うれしさみえる たかあるき)
増田龍雨
※竹馬とは…子供の遊び道具のこと。2本の竹ざおの途中に横木をつけ、それに足をのせ、さおの上部を握って歩くもの。
(くつひもを むずぶあいだも くるゆきつぶて)
中村汀女
(ふるなべの なかににえたつ わかなかな)
尾崎紅葉
おばんざい 秋と冬 京の台所歳時記 [ 秋山 十三子 ](河出文庫)
生きもの
こちらでは、冬の生きものにかんする季語の俳句をまとめました。
(かんすずめ いちわきて にわさんばきぬ)
山崎ひさを
(てんくうへ まいあたわれし たかひとつ)
岡安迷子
(みずどりを ふきあつめたり やまおろし)
与謝蕪村
(のあかりや あちらこちらへ かもわたる)
中村草田男
(はくちょうの おとなくおりし すいりんかな)
上村占魚
(おしどりの ふたつならんで ながるるよ)
野田別天楼
(いそちどり あしをぬらして あそびけり)
与謝蕪村
(かんぶなや よつであげたる ひのひかり)
大場白水郎
花と植物
こちらでは、冬の花や植物にまつわる季語の俳句をご紹介しています。
(かぜふけば ひがしにたまる おちばかな)
与謝蕪村
(かぜうけて ろのかれはや ながれゆく)
星野立子
(かきおちば いちようもらさず はきにけり)
相馬虚孔
(かぜにきけ いづれかさきに ちるこのは)
夏目漱石
(ふゆのうめあたり はらってさきにけり)
小林 一茶
(そのひおい ももよりしろし すいせんか)
松尾芭蕉
(ひとつちりて あとにはななし ふゆぼたん)
正岡子規
(かんつばき おちたるほかに ちりもなし)
篠田悌次郎
(ひかや さざんかこぼる にわのいし)
室尾犀星
(ちゃのはなに かくれんぼする すずめかな)
小林一茶
(みかんのか しみたるゆびを あらわずに)
山口誓子
(ねこはいま ふゆなばたけを あるきおり)
高浜虚子
(ながれゆく だいこんのはの はやさかな)
高浜虚子
(ふゆくさに ひのよくあたる うりちかな)
渋沢渋亭
(あたたかな あめがふるなり かれむぐら)
正岡子規
※枯葎…夏に生い茂っていた葎(雑草)が、冬になって枯葉てた様子のことをいう。
春の足音
冬から春へ、春の足音を感じる季語を使った俳句をあつめました。
(あさぬれし あめのえだえだ はるちかし)
室生犀星
(しゃそうより せとのしまやま はるどなり)
星野立子
(ときおりの しおのかおりの はるどなりかな)
草間時彦
(やまのはしや はるとおからぬ ほそいつき)
尾崎迷堂
(やはんのつき さえずあかるし はるちかき)
及川 貞
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まとめ
今回は、冬の季語と俳句をご紹介させていただきました。
【冬の季語】について見つめてみると、冬といっても、いろいろな顔があることがわかるのではないでしょうか?
秋の終わり頃の冬はじめ頃から、クリスマスや年末を過ぎて、新年を迎えていくまででも、いろいろな冬の顔がありますよね。
本格的に寒くなり、そこを過ぎるば春の足音が聞こえてきて、軽やかな雰囲気が。
【冬の季語】を眺めるだけでも、存分に季節を感じることができますね!
この記事が、あなたの言葉選びのお役にたてれば幸いです。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
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