冬の夜は、長くて静かな印象があります。
冷たく澄んだ夜空では、とりわけ星が輝いて見えます。
今回は、『冬の夜』の季語や俳句、
『冬の夜』をあらわす言葉をあつめました。
『冬の夜』をことばで感じてみてくださいね♪
『冬の夜』をあらわす季語
『冬の夜』をあらわす季語や、『冬の夜』にまつわる季語をご紹介します。
季語【冬の夜】
『冬の夜』という言葉自体も、【冬の季語】です。
ほかにも、『冬の夜』をあらわす季語には、つぎのような言葉があります。
冬の夜(ふゆのよ)、寒夜(かんや)、
夜半の冬(よわのふゆ)、
霜夜(しもよ)、
寒き夜(さむきよ)、
夜半の冬(よわのふゆ)、
霜夜(しもよ)、
寒き夜(さむきよ)、
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『冬の夜』連想季語
こちらでは、『冬の夜』にまつわる季語をあつめました。
あなたは、『冬の夜』といえばどんなことばを連想するでしょうか?
『冬の夜』をイメージする冬の季語をご紹介します。
季語 | 読みかた | 意味 |
凍星 | いてぼし | 凍り付いたような寒々とした冬の空のこと。 |
凍る | こおる | 液体、とくに水が低温のため凝結して固体の状態になること。 |
寒月 | かんげつ | 冬の夜の冷たく冴えわたった光の月のこと。 |
狐火 | きつねび | 冬の夜に、墓場などで燃える青白い火のこと。 |
さえざえ | 冬の寒さが透き通って、身にしみるように感じるさまをあらわす。 | |
冴ゆる | さゆる | 凛とした寒さが際立つ感じ、寒さが一層増す感じ、などをあらわす言葉。 |
小夜時雨 | さよしぐれ | 夜に降る時雨のこと。 |
底冷え | そこびえ | 体の芯まで冷えること。また、そのように寒いことをいう。 |
冬ざれ | ふゆざれ | 草木などが枯れはてて、風物がもの寂しい様子のこと。 |
冬深し | ふゆふかし | 一年で寒さがもっとも極まる時期のこと。 |
冬銀河 | ふゆぎんが | 冬の夜空にかかる天の川のこと。 |
冬の月 | ふゆのつき | 青白く寒々とした寒中の月のこと。冴え切った美しさと凄みがある。 |
冬の星 | ふゆのほし | すばる、オリオン、シリウスなど、冬の夜空に鋭くまたたく星のことをいう。 |
冬の霧 | ふゆのきり | 冬に出る霧のこと。 |
冬の山 | ふゆのやま | 低い山では、木々の葉が落ちつくし、高山では雪や氷に閉ざされて静まり返った山のこと。 |
山眠る | やまねむる | もの寂しく、眠るように静まりかえった冬山の形容のこと。 |
冬野道 | ふゆのみち | 冬の野原を通る道のこと。 |
月冴ゆる | つきさゆる | 冴えきった大気の中で、鏡のように澄んだ月のようすのこと。 |
星冴ゆる | ほしさゆる | 寒気に冴えわたって見える冬の星のこと。 |
雪月夜 | ゆきづきよ | 降り積もった雪に月の明かりがさし込んでいるような夜のこと。 |
雪しまき | ゆきしまき | 吹雪が激しく吹き巻くことをいう。「しまく」は「巻く」の意味。 |
雪野 | ゆきの | 一面に雪が降り積もった原のこと。 |
霜夜の鶴 | しもよのつる | 鶴が片足で立ち、長い首を後方に曲げて翼の間にはさみ、みじろぎもせずうずくまる姿が、霜夜の寒さを嫌うと言い伝えられているところから名付けられた鶴の様子のこと。 |
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『冬の夜』暮らしの季語
『冬の夜』には、暮らしにまつわる季語もたくさんあります。
季語 | 読みかた | 意味 |
ちゃんちゃんこ | 綿を入れた袖なしの羽織のこと。 | |
蒲団 | ふとん | 蒲団は一年中使うものだか、本来は防寒用のため、冬の季語になっている。 |
毛布 | もうふ | やわらかく暖かな毛織物の寝具のこと。 |
おでん | はんぺん、蒟蒻、つみれ、大根など、大切りにしてグツグツ煮込んだ料理。 | |
生姜湯 | しょうがゆ | 熱い湯にすりおろしの生姜を入れて、砂糖を加えた飲みもの。風邪気味の時など効果があり、滋養がある。 |
葛湯 | くずゆ | 葛粉に熱湯を注ぎ、砂糖を加えたもので、とても身体が温まる。 |
夜鷹蕎麦 | よたかそば | 夜間、担ぎ売りする蕎麦屋の屋台のこと。江戸時代の風物のひとつ。 |
夜鳴饂飩 | よなきうどん | 夜間、担ぎ売りする蕎麦またはうどん屋の屋台のことで、上方では、夜鳴饂飩という。江戸時代の風物のひとつ。 |
鍋焼 | なべやき | 肉、魚、野菜などを土鍋に入れて煮た料理。『鍋焼きうどん』の略。 |
牡丹鍋 | ぼたんなべ | 猪の肉を野菜といっしょに煮込んだ鍋のこと。 |
湯豆腐 | ゆどうふ | 昆布だしに豆腐を入れて、煮ながら食べるもの。 |
火の番 | ひのばん | 夜間に、火事が出ないように市中を見回ること。類:火の用心 |
冬燈 | ふゆともし | 寒々とした冬の灯のようす。 |
夜焚火 | よたきび | 夜におこなう焚火のこと。 |
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『冬の夜』俳句
『冬の夜』の季語をつかった俳句をご紹介します。
冬の夜や 暁かけて 山おろし 暁台
冬の夜の人のなさけにすがるとき 久保田万太郎
冬の夜の 汽車発つ音に 心とむ 山口波津女
冬の夜を 冴えし瞳と 居りにけり 室生犀星
冬の夜や 海ねむらねば 眠られず 鈴木真砂女
冬の夜を いつも灯ともす 小窓かな 高岡虚子
冬の夜や 古き仏を 先づ焚かむ 与謝蕪村
冬の夜の 灯りを消して 星を見る 稲畑汀子
冬の夜の 宇宙に遊ぶ 望遠鏡 田中臥石
寒き夜や 折れ曲がりたる 北斗星 村上鬼城
寒き夜の 水盤しかと 水を張る 河野南畦
どの部屋も 月の光や 寒き夜 高木晴子
小机に 墨摺る音や 夜半の冬 永井荷風
ふゆやみが寒夜へ急ぐ 惻惻と(そくそくと) 下村槐太
星色に流れて過ぎて 寒夜の汽車 対馬康子
30日のドリル式 実践「お題別」俳句の練習帳 [ 神野 紗希 ]
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『冬の夜』を表現することば
こちらでは、『冬の夜』を表現することばや文章をご紹介します。
冬の月が夜気を白刃のように凍らせる
川端康成『掌の小説』
川端康成『掌の小説』
冬の夕方の空が硝子のような色をする
大仏次郎 『雪崩』
大仏次郎 『雪崩』
しんしんと冷える冬の夜道は豪華な星空にいろどられ、私は晴れやかな気分だった。
ほほにぴりぴりと風がしみて、星がまたたく。
吉本ばなな 『キッチン』
ほほにぴりぴりと風がしみて、星がまたたく。
吉本ばなな 『キッチン』
枯れた木立が骨のように、薄暗いシルエットを作る空に映えていた。
吉本ばなな 『アムリタ(上)』
吉本ばなな 『アムリタ(上)』
風の強い冬の夜には、明かりのついた窓は特別な優しい温もりを獲得する。天吾は、光の灯った窓をひとつひとつ順番に目で追っていった。小さな漁船から夜の海に浮かんだ豪華な客船を見上げるように。村上春樹 『18Q4』
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まとめ
今回は、『冬の夜』の季語や俳句、連想する冬の季語などをご紹介させていただきました。
冬は、夜が長い季節。
静かで幻想的であったり、冷ややかな感じ、冴えわたるような澄みきった美しさ、家の中では温かな場面が。
『冬の夜』にもさまざまな顔があります。
今回ご紹介した言葉の数々が、ことばの表現のお役に立れば幸いです。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
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