夏は風の季節。
『薫風』や『風青し』、『熱風』や『涼風』など、多くの風をあらわす言葉があります。
このような風の言葉を見ていると、匂いや色、湿度や温度を感じるから不思議ですね。
今回は、夏の季語をメインに
風にまつわる言葉、夏の風を表現することばをあつめました!
ぜひ、ことばで夏の風を堪能してみてくださね^^
夏の風の季語

夏の時期を3つに区切りながら、
風にまつわる夏の季語をご紹介します!
※そのほかの季節の【風のことば・季語】は、
こちらをどうぞ👇
三夏

三夏(さんか)とは、夏の季節のことをいい、立夏(5月6日)から立秋の前日(8月8日頃)までの期間をいいます。
そして、三夏は、初夏・仲夏・晩夏の3つの期間に区切ることができます。
こちらでは、三夏をとおして使うことができる、風にまつわる【夏の季語】をあつめました。
| 季語 | 読みかた | 意味 |
| あいの風 | あいのかぜ | 4月~8月ころ、日本海沿岸に吹く北または東からの風のこと。 |
| 青嵐 | あおあらし・せいらん | 青々とした山気のこと。また、新緑のころ、青葉の上を吹き渡る風のことをいう。清らかなやや強めの風。薫風。 |
| 荒南風 | あらはえ | 『南風(はえ)』とは、おもに西日本で使われる方言で、南から吹く夏の季節風のこと。梅雨半ばの南風のことを『荒南風』という。 |
| 海風 | うみかぜ | 海の方から吹いてくる風のこと。夏の天気のよい日ほど海風が発達し、涼味を覚える。 |
| 大南風 | おおみなみ | 夏の季節風、南風のことをいう。 |
| 風通す | かぜとおす | 部屋の戸や窓を開け放ち、風通しをよくすること。 また吹き抜ける風のこと。 :かざとおし、風通り、襖取る(ふすまとる) |
| くだり | 日本海沿岸で使われる南風のこと。 | |
| 滝風 | たきかぜ | 滝が流れ落ちるときに生じる風のことをいう。 |
| 夏嵐 | なつあらし | 夏に吹く南風のこと。 |
| 夏風 | なつかぜ | 夏に吹く風のこと。 |
| 夏の風 | なつのかぜ | 立夏以降、夏に吹く風のこと。 |
| 南薫 | なんくん | 南から吹いてくる快い風のこと。 |
| 南風 | はえ、みなみ、なんぷう、みなみかぜ | 南から吹くの風のこと。おもに4月~8月ごろに吹く夏の季節風。 |
| 日方 | ひかた | 日のある方から吹く風のことで、夏の季節風。 |
| 真風 | まじ、まぜ | 南または南西から吹くあたたかな風のこと。 |
| 夕立風 | ゆうだちかぜ | 夕立のときに吹く風のこと。 |
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【初夏】

俳句などの『季語』の世界では、夏とは、立夏から立秋の前日までをいいます。
だいたい夏の期間は、5月6日~8月8日ころの前日まで。
こちらの項では、夏の中でもはじまりの頃、『初夏』の【夏の季語】をあつめました。
『初夏』とは、二十四節気の立夏の5月6日ころ~芒種の前日6月5日ころまでのことをいいます。
| 季語 | 読みかた | 意味 |
| 沖南風 | おきはえ | 5月ころから吹く南西の風のこと。南九州でいうことば。 |
| 風青し | かぜあおし | 青葉を吹き抜けて吹く風のことで、まるで青く染まっているように感じられる風のこと。 |
| 風の香 | かぜのか | 青葉の香りを吹きおくるような初夏の風のこと。 |
| 風薫る | かぜかおる | おもに初夏に青葉が匂うように晴れて吹き渡る南風のこと。 |
| 薫風 | くんぷう | 初夏に新緑の間を吹いてくるの風のこと。 |
| 黄雀風 | こうじゃくふう | 陰暦5月ころに吹く東南の風のこと。 |
| 菖蒲東風 | しょうぶごち | 5月ごろに吹く東風のこと。 |
| 新樹風 | しんじゅふう | 『新樹』とは、若葉が芽吹いてみずみずしい緑色している樹木のことをいい、夏の季語。『新樹風』わかばが萌え出た木々の間を吹き抜ける風のこと。 |
| 節の西風 | せつのにしかぜ | 田植えの季節に吹く西風のこと。 |
| 筍流し | たけのこながし | 筍が生えることに吹く南風のこと。『ながし』は雨のことで、湿気を多く含むことが多い南風。 |
| 芽花流し | つばなながし | 湿気の多い雨混じりの南風のこと。芽花の白いワタがほぐれるころに吹く風のこと。 |
| ながしはえ | 九州地方で、梅雨のころに吹く南風のことで、湿気を多く含む風。『ながし』とは長雨のこと。 | |
| 麦の秋風 | むぎのあきかぜ | 麦秋のころに吹き渡る風のこと。麦秋とは「ばくしゅう」と読み、麦の穂が実り、収穫期を迎えた初夏のころのこと。:麦嵐 |
| 山背 | やませ | 山を越えて吹いてくる風のこと。 :山背風(やませかぜ) |
| 緑風 | りょくふう | 青葉を吹く、初夏の風のこと。 |
| 若葉風 | わかばかぜ | 初夏、若葉に吹く風のこと。 |
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【仲夏】

【仲夏】とは、6月6日の芒種~7月6日の夏至までの期間をいい、
『ちゅうか』と読みます。
おおよそ梅雨の時期にあたるのが【仲夏】です。
こちらでは【仲夏】の風にまつわる季語をあつめました。
| 季語 | 読みかた | 意味 |
| 黒南風 | くろはえ、くろばえ | 梅雨の初期に、黒い雨雲の下を吹く南風のことをいう。 |
| 夏至夜風 | げしよかぜ | 夏至の日の夜に吹く風のこと。 |
| 白南風 | しろはえ、しらばえ | 梅雨明けの時期に吹く南風のこと。 |
| 六月風 | ろくがつかぜ | 六月に吹く風 |

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【晩夏】

こちらでは『晩夏』の季語をあつめました。
季語の世界の『晩夏』とは、だいたい二十四節気の小暑の7月7日~立秋の前日8月7日ころまでのことをいいます。
| 季語 | 読みかた | 意味 |
| 青田風 | あおたかぜ | 青田の上を吹き渡る夏の風のこと。 |
| 風涼し | かぜすずし | 晩夏のころに吹く涼しい風のこと。 |
| 土用間 | どようあい | 夏の土用に吹く、涼しい北風のこと。 |
| 土用東風 | どようごち | 夏の土用のころの晴れの日に吹く東風のこと。この風が吹くときは涼しい。 |
| 熱風 | ねっぷう | 真夏の高温で乾いた風のことで、熱気をふくむ風。 |
| 麦の風 | むぎのかぜ | 麦が黄熟するころに吹く麦の風のことをいう。 |
| 涼風 | りょうふう、すずかぜ | おもに夏の終わりに吹く涼しい風のことをいう。 |
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風が吹かないとき

風が吹いていないときにも、風にちなんだ言葉があります。
こちらでは、風が吹かないときの
【夏の季語】をあつめました。
| 季語 | 読みかた | 意味 |
| 朝凪 | あさなぎ | 朝、夜の陸風が日中の海風にかわるときにみられる風のない波の静かな状態のこと。 |
| 風死す | かぜしす | 盛夏の頃、風がぴたりとやみ耐え難い暑さになること。いわゆる凪の状態。 |
| 夕凪 | ゆうなぎ | 海岸地方で、夕方の海風から陸風に交替するときに、無風状態になること。 |
風にまつわる言葉

『風』自体をあらわすわけではありませんが、『風』にまつわる夏の季語も多くあります。
暑い夏には、『風』は切っても切れないもの。
風にまつわる言葉は、夏の風物詩をあらわしていることも。
こちらではそのような風にまつわる
【夏の季語】をあつめました。
| 季語 | 読みかた | 意味 |
| 団扇 | うちわ | 手に持ち、あおいで風を起こして涼をとる道具のこと。 |
| 扇 | おうぎ | 手に持ち、あおいで風を起こして涼をとる道具のこと。 |
| 扇風機 | せんぷうき | 小型モーターで羽根車を回転させて風を起こす機械のこと。 |
| 風蝶草 | ふうちょうそう | 高さ約1mほどに成長する1年草で、白い四弁花を咲かせる。クレオメの別称。:白花菜 |
| 風蘭 | ふうらん | ラン科の常緑多年草で、白い花を咲かせる。 |
| 風鈴 | ふうりん | 金属や陶器、ガラスなどでできた釣り鐘型のもので、中には、風を受ける短冊や羽をつけた鈴のこと。 |
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風の言葉(季語以外)

季語以外のことばでも、風にまつわる言葉はたくさんあります。
こちらでは、そのような季語以外の
風のことばをあつめました。
| ことば | 読みかた | 意味 |
| 朝嵐 | あさあらし | 朝に吹く強く激しい風のこと。 |
| 色風 | いろかぜ | なまめかしい風、いろっぽい風のこと。 |
| 上風 | うわかぜ | 草木の上を吹き渡る風のこと。 |
| 風音 | かざおと | 風が吹く音のこと。 |
| 神風 | かみかぜ | 神が吹き起こすといわれ風のこと。 |
| 科戸の風 | しなとのかぜ | 風の異称。科戸とは、風の起こるところのこと。 |
| 時津風 | ときつかぜ | 良いタイミングで吹く、時節にかなった風という意味がある。気象用語のひとつ。 |
| 松風 | まつかぜ | 松に吹く風のこと。 |
| 洋頭風 | ようとうふう | 「洋」は南西をあらわす。夏に吹く南寄りからの風のこと。 |
| 落梅風 | らくばいふう | 陰暦5月、梅の実が落ちるころに吹く風のことをいう。 |
地域の風のことば

日本の各地域には、その土地ならではの風の言葉があります。
こちらでは、地域で伝わる風の言葉をあつめました。
| ことば | 読みかた | 意味 |
| 明日香風 (飛鳥風) | あすかかぜ | 大和国(奈良県)の明日香地方に吹く風のこと。 |
| 夏至南風 | カーチーベー、カーチーバイ | 沖縄で梅雨明けのころに吹くやや強めの風のことで、南~南西風の風のことをいう。 |
| 清川だし | きよかわだし | 山形県庄内地方の清川付近に吹く局地風のことをいう。 |
| 下総東風 | しもうさごち | 千葉県館山市で5月、6月頃、霧がかったときに吹く東北東の風のこと。 |
| 初瀬風 | はつせかぜ | 大和国(奈良県)初瀬あたりを吹く風のこと。 |
| 広戸風 | ひろとかぜ | 岡山県北東部那岐山南麓に吹く、北寄りの局地風のこと。夏から秋に発生することが多い。 |
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まとめ
今回は、風にまつわる【夏の季語】をご紹介させていただきました。
夏とは、俳句などの『季語』の世界では、
立夏(5月6日)から立秋の前日(8月7日ころ)までをいいます。
夏の風にまつわる言葉は、夏の風物詩であったり、地域に伝わる風などもあります。
軽く吹く風や激しく吹く風、湿り気を帯びていたり、乾いていたりと、風にはさまざまな顔があります。
そんな風の違いを、うまく言葉で表せるようになれば、表現に奥ゆきがでて、伝えることが楽しくなりそうですね^^
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。




コメント
私の周りで、涼風と緑風という言葉をよく聞きます。夏の季語なんですね。花冷えと寒の戻りが同時に来たみたいな寒さですが、今は、季語関係なく、悪天候ですね。
コメントありがとうございます^^今は、季語と気候や体感が違っていることもしばしばですよね・・・。ただ季語の中には、昔ながらの暮らしや在り方を感じることもあり、やはり大切な言葉だと思います。